白夜城ブログ

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
誤字の報告はこのフォームからお願いします


魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

--/--/--   スポンサー広告     [編集]

3
 私は逃げるように部屋を出て階段を駆け下りた男の子を追った。
 本当に一体何なんだろう。理解できない。
 私がドアが開けっ放しのリビングへと駆け込むと、男の子が私の母さんにしがみついているのが目に入った。
「だから本当だって!」
「うーん……そういえばさっきも」
 母さんが男の子を邪険にしながら頭を掻いた。
 まさか、母さんの悪戯? じゃあ、この子何なの? よく見たら父さんに少し似てる。私も父さん似だから、私とも似てるって事になる。ああ、こんな奴と似てるって最悪かも。
「母さん、何のつもり? 私怒るよ?」
 怒りながらリビングのドアを閉めた。
「うわっ」
 男の子がビビって、母さんの前に立つ。まるで私の母さんを守っているかのように。
「母さん、その子誰?」
 私が尋ねるが、答えは返ってこない。
「ねぇ、そんなに言いにくい事なの? 私の部屋をあんなにしてさぁ」
 それでも答えは返ってこない。
 なんで? 私何かした?
「ねぇってば!」
 壁を殴り、ゴンっと音が部屋に響いた。
 二人はびくっと震えて、母さんが男の子にしがみつく。
「な、何、今の音」
「や、家鳴りって、奴だろ。ドアだって、どっかの窓開いてるんじゃないか?」
 二人の頓珍漢な言葉を聞いて、私は顔を顰めた。
 何のつもりなんだ、この二人は。
「ねぇ、いい加減にしてよ」
 でも二人とも私を見ない。ずいぶんずれたところを凝視している。
 なんで?
 何のドッキリ?
 何でこんな悪戯するの?
 何か悪い事した?
「ねぇってば!」
 私が叫んだ直後、玄関のドアが開く音が、物静かなCMの音を打ち消すようにリビングに響いた。
「ま、またっ?」
 私は二人の事はほっといて、リビングのドアが開くのを待った。
 真面目で恥ずかしがり屋な父さんなら、こんなタチの悪い悪戯には付き合わないはずだ。もしくは下手な演技でバレバレだ。
 リビングのドアが開き、案の定父さんが帰ってきた。
「父さんっ」
 私の安堵の声と、男の子の安堵の声が重なった。
 何なのこいつ、人の父親を父さんってさ。
「どうしたんだ、二人ともそんなにひっついて」
 父さんはまっすぐに母さん達の元へと歩き、その前に立っていた私には見向きもせず、肩がぶつかり押し飛ばされた。
「え? 父さん?」
 私は壁にぶつかり、その場に崩れ落ちた。
 私にぶつかった。一瞬ちらりと壁を見た。でもしゃがみ込んだ私は見ないで、首を傾げた。
「なんか……変な音がしたような」
 音がしただけ……。
「待って父さんっ」
 足を掴んで止めようとしたけど、簡単に振り払われた。振り払うつもりすらない、普通に歩いただけだった。
 演技なんて出来そうにもない父さんまで……私を無視する。声が……届かない。
「さっきからおかしいんだよ。ドアが勝手に開いたり閉じたり、窓とか壁が鳴ったりさぁ」
「風とか家鳴りだろ」
「風でちゃんと閉めてたドアが開くかよ。変なんだよ!」
 この三人には、私が見えていない。
 そう理解して、私は腰を抜かしたまま、立つ事さえ出来なくなった。



 
back menu next
誤字の報告はこのフォームからお願いします


魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

2011/01/23   向こう側   952コメント 5     [編集]

Comment

 

神無月7141   この話を読ませて頂いて   2011/01/23   [編集]     _

昔の「ひとりでできるもん」を思い出しました。
確か男の子と女の子がひとつの家に住んでいるんだけど、それをそれそれが知らない……とかいう設定の回があったような……

とーこ7142     2011/01/23   [編集]     _

猫の手ぐらいしか記憶がありませんが、あれにそんな話が……

-7151   家鳴り(やなり)   2011/01/24   [編集]     _

「い、家鳴りって、やつだろ」は
「や、家鳴りって、やつだろ」でしょうか。

-7153     2011/01/24   [編集]     _

天くん恋ちゃんの頃だ!って、あの頃まだ20世紀だったね。

マナ7167     2011/01/24   [編集]     _

読んでる最中に部屋の扉が勝手に閉まったので本気でびくつきました……
風のせい風のせい風のせい。


Pass:   非公開:    

.

最新記事のRSS

.

更新履歴 カテゴリ コメント

.

.

拍手

.

リンク

.



.

.

.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。