白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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「伯父様、不毛な事はやめましょうよ」
「同じ悪魔の若輩者を任せるんだ。実力は見ないと」
「ただ、最高位魔術師がどんなものか、好奇心が抑えられないだけでしょ!」
「ん、そうとも言う。政府に無関係の魔術師がのこのこと外に出てくるなんて滅多にない!」
 ルシウスは子供のように楽しげに、指を君で骨を鳴らした。
 アディスはうんざりした様子で、額を押さえる。
「女好きではない方は、マトモだと聞いていたのに、残念ですね」
「女を攫ってきたりはしないが、喧嘩はけっこう好きだな」
 くくっと笑い腕を回す。
「私は暴力沙汰は好みません。野蛮が好きなら、野蛮な相手だけに喧嘩を売ってください」
「世の中、平和主義者なんて踏みつぶされるだけだ。せっかく楽しげな行いを、踏みつぶされてはたまらない。踏みつぶされないように、保護すべきかどうか、判断しかねるんだ」
 アディスは目を伏せた。
 そのまま光る手を上げ、すっと横に薙いだ。
「面倒臭い悪魔だ。マデリオ、エスカ達を守っていなさい」
 マデリオは言われるがままエスカの元へと走った。
「言うだけあって格好いいねぇ」
 ルシウスは人事のように笑いながら手を叩いた。
 アディスはそれ以上の無駄口は叩かず、口と手を動かした。瞬く間に術は完成し、ルシウスが立つ場所で爆ぜた。しかしルシウスは、寸前で姿を消し、別の場所に姿を見せた瞬間、そこを狙い撃たれる。それも避けられるが、アディスは次々と術を完成させて、小規模の爆発を繰り返した。
「まぁ、なんて綺麗。セシウス様、あんな魔術は初めて見ますわ」
「本当に、まるで花火のよう」
 セシウスの魔女達が、きゃあきゃあと騒いだ。
「フレアちゃん、あれはどういう魔術?」
 魔女に尋ねられ、フレアは髪を弄りながら答える。
「光式の魔術と音式の魔術の混合魔術ね。エイダが得意な連続魔術よ。早さで言えば、もっとも速く発動する魔術ね。光式は魔力の質が合う合わないがあるから、出来ないって言ってたのに」
 聖良もそう聞いていた。
「僕達に教えているときに、暇だからって練習していた」
 カランはセシウスに短刀を向けたまま言った。
「血の滲むような練習って、片手間で出来るのね」
「爆発して、本当に血は出てた」
 人間の頃に練習できなかったのは、人間の身では危険だったから。それだけだというのが、カランの言葉から理解できた。
 竜だからこそ出来る暴挙なのだ。
「フレア、あれはどうやるんだ?」
「私がやったときは、感電したからすぐに諦めたわ。可愛い魔女に大怪我をさせたくなければ、やめた方が良いと思うの」
 父の問いに、フレアは素っ気なく答えた。
 セシウスは腕を組んで、じっとアディスを見つめる。
「あの魔力の使い方をして、よく平然としているな。やはり血統というのは大切か。一体どうやって、あの国の血統を保たせるか……」
 ルシウスは真剣な表情で、ブツブツと呟いた。
 その間にも、二人の遊びは続いていた。しかしセシウスもそろそろ飽きてきたらしく、動きが変わった。姿を消すのではなく、予想して、足で動いて避け始めた。そして彼はもう一度姿を消して、アディスの真後ろに現れた。
「ふん」
 アディスは指を鳴らし、自分の背後で爆発を起こす。
「っぐ」
 ルシウスはまさか触れそうなほど近距離で爆発させるとは思いもしていなかったらしく、まともに食らってたたらを踏み、尻もちをついた。
「ってぇ」
「人間なら死んでいるから、痛いのは当然の事」
 アディスは振り返り、ルシウスと距離を取った。
「いくら数のために威力を犠牲にしたとはいえ、痛いだけ、服が焦げただけ、という方が生物として間違っているだけでしょう」
 言ってアディスはセシウスを警戒しながら、聖良の元へとやって来て、軽々と抱き上げる。
「で、このお遊びで満足いただけたのでしょうか?」
「満足満足。実力をほとんど隠したまま満足させるんだから、さすがはグリーディアの魔術師だ」
 ルシウスは心底楽しげに、ケラケラと笑っていた。彼はアディスに自分に勝つ事を望んでいたのではない。先ほどしたように、驚かせてくれるのを期待していたのだ。
「いやぁ、格好いいな。確かに、それは格好いい! 言うだけはあるじゃないか」
「出来ない事を他人に押しつけるほど傲慢ではありません」
 格好良いと自慢するのはいいが、冷笑を浮かべる様はまさしく悪人であった。彼が演じているのは結社のボスなのだから間違いではないが、子供に見せるには間違いな格好良さだ。
「格好いい……」
 しかしマデリオどころか、エスカまでもが感化されてしまったらしく、目をキラキラさせてアディスを見上げた。
 子供という物は、ちょっと悪いぐらい強者を格好いい物だと思う時期があるのだということを、聖良は今更ながら思い出した。

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
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盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

2011/01/15   下書き   945コメント 4     [編集]

Comment

 

やすべい7107     2011/01/15   [編集]     _

何かこの後聖良からの教育的指導がアディスに襲いかかるような気がするのですが???

-7112     2011/01/16   [編集]     _

最近青色吐息の更新も多くてしあわせ~(≧∇≦)

るる7114     2011/01/17   [編集]     _

武器はフライパンで!

-9409   承認待ちコメント   2017/04/28   [編集]     _

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