白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 フレアに連れられたのは、知らぬ建物の中。石造りでギリシャの神殿のような雰囲気があり、聖良には何か儀式をする場所のように見えた。この世界で一般的な、神殿の様式とは、違うように見える。
「土着神の神殿ですね。国にとっては歴史的な価値があるため、神殿の手から逃れたのでしょう」
「へぇ。歴史的な価値とか認めるんですか」
「国が全力で保護すれば」
 聖良は部屋を見回した。そのような理由で保護しているのなら、この部屋は本当に使わないのだ。半悪魔が移動するのに相応しい場所である。
「外からも見たいです」
「そうしましょう」
 聖良は日差しを気にして帽子を被った。そして帽子よりも少し明るい色の、アリスのような青いエプロンドレスの裾を押さえて、神殿の外に出る。あまり大きくないので、迷いもせずに出られた。方向音痴気味の聖良にとって、幸先の良いスタートだと、わずかに喜んだ。
 右手から来た衝撃に吹き飛ばされるまでは。

「っつ」

 気がついたら、日陰の中でひっくり返っていた。どうやら階段に手摺がなかったため、そのまま落ちたようだ。
 顔も痛いが、両の肩が痛い。左側は骨折して、痛みのあまり動けない。右側を眼球だけを動かしてみれば、焦げていた。
「あああっ!?」
「大丈夫ですかっ」
 頭上から声が掛かると、アディスが聖良の隣に着地する。
「おろし立てのワンピースが焦げたっ!」
 肩も焦げていたが、当然服はもっと焦げていた。
 可愛くて可愛くて、モリィの姿に似合いすぎていた、アリス風エプロンドレスの袖が、見るも無惨な姿になっていた。
「顔や肩を気にしなさい」
「…………だって痛い」
 骨折している肩が、なかなか修復されない。ぽろぽろと涙がこぼれる。
「砕けているから、時間が掛かりますね」
 綺麗な骨折は瞬時に治るが、複雑な骨折は時間が掛かる。瞬時に治ると、歪んで引っ付く可能性があるから、都合が良いのだという。
「固定させましょう。ハーティ、荷物を」
「はい」
 ハーティーが背負っていた荷物を下ろそうとすると、カランが奪い取って階段から飛び降り、白い布を取り出す。そして簡単に肩を固定したところで、
「モリィっ!」
 血相を変えたマデリオがやってきた。混乱しすぎて、転移を忘れて走ってきたようだった。
「だ、大丈夫かっ」
「大丈夫なわけがないだろう。お前は何をやっているんだっ」
 アディスが珍しく声を荒げた。
「あ、アーネスかと思ったんだよっ」
「どこをどう見てるんですか、まったく。
 説教は後です。医務室はどこですか。綺麗に引っ付くように、すぐに医者に診せないと」
 聖良は首を傾げた。この身体の時に骨折で骨が歪んでしまったら、聖良の身体にも影響があるのかも分からない。モリィの姿に影響があるかすら分からないのだ。アディスが作った術だから、そのような前例は未だ無く、予想される結果は、想像でしかない。





 聖良は肩を紐で結ぶワンピースを身につけていた。肩が上がらないので、袖を通せないのだ。
 数時間で完治すると言っても、ワンピースの右側はボロボロで、べっとりと血もついていたため、着替えないわけにもいかずに、医務室でこのワンピースを借りた。
「ああ、アリスワンピ……可愛かったのに」
「似たようなデザインの服を作りましょう」
「どうせまたすぐに破れるんです。気に入った服を着ている時ほど、汚れるんです。私なんかが、可愛い服を着るのが間違っていました」
「使い捨てだと思えばいいじゃないか。他所の国の姫君は、一度袖を通した服は二度と着ないそうです」
「どんな極端な例ですか。そういう無責任な噂が、パンが食べられないならお菓子を食べればいいなんて、ひどい台詞を捏造するんです」
「どんな可哀相な人ですか、それ」
「とある王室最後の王妃です。民衆が反乱を起こし、断頭台行きになりました」
「王族も大変ですねぇ」
「まったくです」
 聖良は先ほどまでは焦げていた右腕を動かし、出されたお茶を飲んだ。
 マデリオは深く深く反省して、現在は床の上で正座をしている。当然、おやつは抜きだ。しかも、誰も彼には目を向けない。エスカでさえ怒って無視をしてしまっている。
「そうだ。この際だから、この国の可愛い服を買いに行きましょうか。前回はその時間はありませんでした。これからグリーディアも温かくなるから、ちょうどいい」
「そうですねぇ」
「可愛い物をたくさん買いましょう」
 アディスは聖良の額を撫でて言う。ついでに欲しがっていた糸も買いましょう。グリーディアよりもよい物がありますよ」
「そうですね。パジャマに出来そうな綿のシャツが欲しいです。大きめのを買えば、大きくなっても着られますし。ハーティとカランのも買いましょうね」
「先に両替しないと。アスベレーグ、この国の両替はどうなっていますか?」
「代金ならば、ドレスの弁償も兼ねてこちらで持ちます」
「そうですか。では、モリィの可愛い服を買いましょう。可愛い刺繍が施された、華やかな訪問着とか。せっかくお気に入りだったよそ行きのワンピースですからね」
 チクチクとした嫌味を言うのを決して忘れない。
 マデリオにはいい薬だ。これで少しは落ち着きが出る。

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2010/12/26   下書き   929コメント 3     [編集]

Comment

 

とーこ6996     2010/12/26   [編集]     _

前のパソコンがクラッシュしたとき、青色の設定資料集のデータもダメになってたから、エスカの模様がどこにあったかも分からなくなって描きにくい。

G.G.6997     2010/12/26   [編集]     _

マデリオはもう少し分別を付けてくれないとねぇ。

聖良だからよかったけど、他の人間だったらどうなることか。

れい6998     2010/12/26   [編集]     _

セーラ以外にそんな目にはあわないから大丈夫。
セーラは痛い目にあったけど、マデリオのいい薬になりました。とさ。
アリス風ワンピース可愛いだろうな~~~


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