白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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72

 この日は俺の友人達が家に来ていた。
 何をするって、勉強するんだ。
 一人でやると気付いたら漫画を読んでいる駄目な俺を叱ってくれ、だとか、せめて優しい女の人がいる場所がいい、との事。
 確かにハルカさんは、みんな平等に接してくれるけど、それでいいのか……。
「あっつー」
 二階で仕事をしていたハルカさんが、俺達が勉強する一階のリビングにやってきて、冷蔵庫から麦茶を詰めたペットボトルを出して、グラスに入れる。
「二階はクーラー入れてないんですか?」
「あんま好きじゃないの。乾燥するし、冷えすぎるし」
「女の人は大変だなぁ」
 俺の友人達の視線は、ショートパンツをはいたハルカさんの足に集中していた。これでもハルカさんは比較的、露出を抑えた格好をしている……とは言えない。
「あ、ハルカさん、僕もお茶もらっていいですか?」
「いいよ。ジュースよりこっちの方がよかった?」
 テーブルにはハルカさんがくれたコーラが置いてある。
「カフェイン取りすぎはよくないんで、いつも眠くない時は水か麦茶を」
「そっか。その年でそういう事気にするんだ……大変だね」
 ハルカさんは自家製麦茶入りのペットボトルをテーブルに置く。その時、インターホンが鳴った。リビングの壁のインターホンの親機を見て、ハルカさんは首を傾げた。
「どうしたの? 今日は早いね」
『や、たくさんメロンとマンゴーもらったから、お裾分け』
「ちょっと待ってね」
 ハルカさんがスキップしながら玄関に向かう。
「真琴ちゃん来たんだ」
「え、ちゃんなの? 年上の人マッチョにちゃん?」
「なんとなく?」
 我が友人ながら、その発想が変だよ。
 ハルカさんは真琴さんを連れてリビングに戻ってくる。
「涼しっ」
 汗だくの真琴さんは、首にかけたタオルで額を拭いつつ言った。
「真琴ちゃん、いらっしゃい」
「お、キョーヘー。お前いたのか」
「ここにはよく集まるよ。広いし、エロ……綺麗なお姉さんはいるし」
「おいおい」
 当のハルカさんはメロンを持って、台所に直行している。
「もう食べるの?」
「冷え安いように切るの。そのまんまだと冷えるのに時間掛かるからね。高級マスクメロンだよ。さすが金持ちのところに送られてくるお中元だね。おやつの時間に出してあげるから」
 ほんと現金だなぁ。でも可愛い。
「あ、コマちゃんなんか冷たいもの飲む?」
「じゃ、この麦茶で」
「はいよー」
 ハルカさんはグラスに氷を入れて持ってくる。
「コマ……」
 恭平が真琴さんをじとっと見つめた。
「どんなネーミングだ」
「マシな方だって。うちの金魚なんて、タクちゃん、アンちゃん、フクちゃん、ジンちゃんなんだからな」
 みんな暫く考えて、
「漬け物かよっ」
「あまりにも迷走して、気付いたら食卓にあった物の名前に」
 金魚だから良いけど、まともにハルカさん好みそうな名前を考えて上げていた俺って……。
「ほれ、グラス」
 ハルカさんは氷の入ったグラスを置き、ペットボトルの麦茶を注ぐ。なんでも愛飲している国産麦茶らしい。
「あ……そうそう、話は変わるけど、真琴ちゃんって車の免許はあるんだっけ?」
「あるけど?」
「海行こうよ、海。どうせ家に車あるんだよね」
「あるけど保険の関係で乗れないから、車は無理だ。うちは無駄な贅沢はしないんだ」
 恭平は悔しげに床を叩いた。海に連れて行ってもらおうと思うぐらい、仲いいんだな。
「じゃあハルカさんは」
「芋洗いの海?」
 ハルカさんは嫌そうに言う。
「真琴ちゃんならきっとプライベートビーチぐらいっ」
「ねぇよ」
 真琴さんが呆れ果てて言う。
「別荘はあるけど、さすがにそんなのあるはずないだろ。日本の海岸は国のもんだし」
「って、別荘はあるの!?」
 言った真琴が驚いていた。
「ああ、でもそこの近くのビーチは穴場だよ。ホテルに泊まらないと不便だから、日帰りの客がいないんだ」
「へぇ」
 ハルカさんが珍しく興味を持った。海、嫌いだったんじゃ……。
「んじゃあ、うちの車で行く? 二時間ぐらいなら一人で運転もきつくないし。あ、でもバイトは入ってるよね」
「いや、そもそもあんまりバイト入れてないんだ」
 真琴さんもがっつりと食い付いてきた。
 ……微妙だなぁ……どうしようなぁ……。
「面倒くさがりのハルカさんが珍しいねぇ」
 俺は思わずそう言った。
「いや、せっかく水着を買ったのに、沖縄では着なかったじゃん。それはそれでもったいないと。それにあんた泳ぎたがってたし」
 …………ハルカさんの水着姿は見たいけど、こいつらに見せるのはなんか嫌だ。嫌だが……だが……。
「車は八人乗りだから、あと三人いいよ」
 ハルカさんが乗り気だから、ここで嫌がるのは、流石に出来ない。こんな事で我が儘言うなんて、子供みたいだし。
「ハルナちゃんをっ! 是非是非ハルナちゃんをっ!」
「よその男の子がいるのに許可する親なんていないわよ」
「くぅっ」
 ハルナちゃんも人気あるからなぁ。全部お断りして男を泣かせてるみたいだけど。
「トキも誘ってみようかな。海行きたがってたし」
「トキさんならオッケー。
 でもまさか真琴ちゃんとトキさんが古い友達だったなんて……。俺、知り合いが途中からああなったら付き合っていく自信ないかも」
 恭平は腕を組んで考え込んだ。たぶん俺もそうだろう。
「いや、完全にああなったのは専門学校に入ってからだけど、ガキの頃からその気配はあったからさ。縫い物好きだったし、レースとか女物の服とか、目に色変えるほど好きだったしなぁ。なるべくしてなったか、って思ったな」
 本当に昔から過程を見ていたから納得したのか。俺はある日突然そうなったと思い込んでいた。進学して、新しい環境で弾けたと。
 真琴さんがトキさんに連絡を取り、来週ならまだお盆とも重ならず、ちょうど良いのではないかという話になった。今なら予約もそれほど入っていないらしいから、キワさんに押しつけられるようだ。
 こうして、着々と海行き計画が練られていった。




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これの漬け物が好きすぎて、ペットに名付けた強者がいたので、あやかりました。
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7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

2010/08/10   推定家族   832コメント 3     [編集]

Comment

 

とーこ6299     2010/08/10   [編集]     _

沢庵は私が一番よく食べる漬け物
福神漬けは冷蔵庫にあった物(ココイチのお中元)

休みに間に、セロリの浅漬け仕込む予定
お茄子も好きだ。蕪も好き。キュウリも好き

お腹減った……

れい6303     2010/08/12   [編集]     _

前出してたらごめんなさい。
恭平、て誰???
なぜに真琴さんと知り合い???
カテキョの生徒の一人???

とーこ6307     2010/08/12   [編集]     _

前の話で話題になっていた、真琴の教え子です。


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