白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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65

 遊んで、食べて、夫婦……お揃いのグラスを作って、再び夜。
 俺はホテルの部屋でテレビを見て、ハルカさんはシャワーを浴びている。
 グラスは後日郵送で送られてくる。今日話をした二人組には感謝しなければならない。片思い中のイトコと旅行に来たと言ったら、教えてくれたのだ。ハルカさんは俺の事を『弟』みたいなものとしてまったく意識してくれなかったけど、家族としての思い出が出来た。
 ハルカさんは物作りが好きだから、すごく楽しんでいた。ハルカさん超可愛かった。
 でも、明日でもう帰るのか。
 同じ部屋で寝る事は、付き合ってもらえるまではもうないだろう。
 いつも一緒に寝られたら幸せな拷問だけど、好きですと告白したくなる。恋人になれたら幸せだけど、勉強に手が着かなくなりそうだから我慢する……けど、たまに心が折れそうになる。
 告白しても俺はまだ高校生だから、相手にしてもらえないだろう。なにせ弟扱いだし。
 せめてハルカさんを養えるようになってからと言いたいけど、そこまではとても待てないから、せめていい大学に入って、将来が少しでも上向いてから。
 そうは思うけど、ハルカさんはここにきてからすごく可愛いくてまた心が折れそうになる。
 シャワーの水音が、耳に響く。
「ハルトぉ、いるぅ?」
 そしてたまにハルカさんの声が掛かる。
「いるよ。もう、そんなに怖がらなくてもいいのに。ネットで調べたけど、このホテルは出るなんて噂はないよ」
「う、うるさいっ」
 ハルカさんが可愛すぎて、俺の頭の中がぐちゃぐちゃだ。
 ホテルに着いたばかりの時にプールに誘ってみたが、ハルカさんはぶんぶんと首を横に振った。既に水の中が怖くなってるとか?
 俺、ハルカさんの水着姿は一生見られないんだろうか。
 俺が落ち込んでいると、ハルカさんが風呂から上がり、自販機で買ったペットボトルの水を飲む。
「ねぇ、ハルト」
「ん?」
「学校で補習あるんだよね」
「うん」
 それがどうしたんだろう。
「それだけで足りる?」
「足りるよ」
「塾とか本当にいいの? お金なら勉強の事では遠慮しなくて良いよ」
 たぶんだけど、シャワー浴びるのが怖くて、色々と他事を考えていたようだ。
「うーん……塾とかあんまり好きじゃないんだよね。人間関係とかさぁ。
 なんか女の子絡みで絡まれる事が多くて」
 何もしていないのに恨まれたり。
「…………そ、そう。大変だねぇ」
「それにうちの学校の先生は教え方上手いから、下手な塾に行くよりもいいよ。前にお見舞いに来てくれた先生とか、教え方本当上手いんだよ。あんな性格なのに」
 大ざっぱな性格だけど、教え方は本当に上手い。
「ふぅん。教え方が上手い人か……」
 ハルカさんはごろりとベッドを転がる。何度かころころと寝返りをうった後、ホテルに来る前に買ったお酒を冷蔵庫から取り出した。
 俺のはジュース。大人と子供の差を思い知らされる。
「俺も早く二十歳になりたいなぁ。そしたら一緒に飲めるのに」
「ま、炭酸のジュースでそれっぽい気分だけ味わいなよ」
 ハルカさんは携帯を片手に、メールを打ちながら缶チューハイを飲む。つまみはミミガーだ。ちなみにチューハイはストロングと書かれている。今日もよっぱらてさっさと寝てしまうつもりらしい。
 ハルカさんが二本目の缶チューハイに手をかけた頃、俺は立ち上がって窓の外を眺めた。街の明かりが見える。
 明日でもう帰るのか。それはそれで寂しいなぁ、泳ぎたかったし。
 ま、それはまた今度、自分でお金を払って来よう。新婚旅行とかにはいいよなぁ……。
 と考えていたら、背後に気配を感じ、びくりと振り返れば、ハルカさんが缶チューハイ片手に窓に寄ってきた。酔いが回ったのか、もう顔が赤い。
「ハルカさん、もう酔っぱらったの? 顔が真っ赤」
 ほっぺたをつつくと、ハルカさんはよろけるようにして、しなだれ掛かってきた。
 これがハルカさんでなかったら、誘われているのだと判断した所だ。ハルカさんだから、ただ酔っぱらっているだけだと分かるけど。
「明日はぁ、市場行って、ミミガーとチラガーとテチビ買って、アーケード街まわろう。私方向音痴だから、しっかり帰れるように道を覚える事」
「うん」
 気分がよさそうに鼻に掛かった吐息を洩らしてチューハイを飲む。
 梅雨の時にストパーをかけ直した真っ直ぐな髪に触れると、さらさらと指から落ちる。
 俺は心の中で羊の皮を深く被り直す。
 でも向こうから寄ってきたんだから、肩ぐらい抱いて良いかな? いいよな、うん。
 なんて感じに、あっさりと羊の皮が脱げかけた時、
「ふおっ!?」
 ハルカさんが奇声を上げて後ずさった。俺の手が虚しく空振る。ハルカさんはしばらく目を見開いて窓を凝視し、硬直が解けると缶チューハイを一気飲みしてベッドの中に入った。
「ど、どうしたの? また何か見た?」
 また幽霊に邪魔されたのか、俺。
 可愛いハルカさんが見られたのはいいが、二度目となると苛立ちが募ってくる。ちょっと恋人気分を堪能したかっただけなのに、なんて空気が読めないんだ。
「き、気のせい。気にしたら負け気にしたら負け」
 ハルカさんは俺の問いなんて聞かずに、独り言を繰り返した。
 この人、本当にどうやって一人暮らししてたんだろうか。
 何を見たか言ってくれないので、俺は窓を開けて下を見た。下には街灯があるので様子が分かる。目を凝らすと、下の植木の上に何かが落ちているのが見えた。
「もう、パパ何してるの!?」
 何かが何であるか判明するよりも先に、上から女の子の声が響いた。上を向くと、おじさんがベランダの柵から顔を出していた。
「ちょ、お土産落としちゃったのっ!? もう飲み過ぎっ! あっ、人がいる! 当たったらどうするの!? すみません。ほんとすみませんっ! 父がお土産のシーサー落としちゃって」
 中学生ぐらいの女の子が首を出し、父親の代わりに謝り続けた。年下の女の子にこんなに謝られたら、責めるに責められない。
 ハルカさんは落ちるシーサーを見て怯えたらしい。まあ、普通は降ってこないから驚くだろう。よく落ちる物が怖そうに見える物だと分かったよなぁと思うけど。
「いえー、何か落ちて連れがビックリしただけなんで。壊れなさそうでよかったですねぇ」
 ハルカさんは昨日の事で過敏になっているようだ。原因さえ分かれば、かなり気が楽になるだろう。
 俺は安心して窓を閉めると、ベッドに横になったハルカさんに声をかけた。
「よかったねぇ。シーサーだって」
 声をかけるが、ハルカさんはぴくりとも動かなかった。覗き込むと、彼女はもうすやすやと眠っていた。
 一緒に寝たいと言われると厳しいが、先に寝てしまわれると寂しい。
 新婚旅行で沖縄は……よした方が良いのかも。まずはもう一回婚前旅行に来て、その時何もトラブルがなかのを確かめないと。
 よし、大学に入ったらバイト頑張ろう。


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なんかすごくコメントが多かった。宝くじ関係は強いな。

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

2010/07/11   推定家族   805コメント 4     [編集]

Comment

 

とーこ6136     2010/07/11   [編集]     _

一緒に寝たり、ちょっと良い雰囲気に飲まれています。
頭の中ではお花畑です。

すずめ6137     2010/07/12   [編集]     _

ハルト君、若いのにすばらしい忍耐力…!(笑)
ハルカさんもハルト君もかわいいですねえv

-6138     2010/07/12   [編集]     _

やっぱり新婚旅行って考えてたんですね(笑)
上の方が仰ってるように、本当にハルカさんもハルト君も可愛いwww

幽霊は見たこと無いけど、見る人って大変なんでしょうね。
生きている人間にはめちゃくちゃ強いハルカさんの『弱点』であり『隙』。
ハルト君の恋もなんとかなるかもしれませんね^^ …甘いかな?;

社怪人6140   宝くじの売り場で……   2010/07/12   [編集]     _

ときどき「この売場から第◯回宝くじ◯等◯◯円が出ました」っての見るけど、
「ミニロト◯等◯◯円出ました」っての見て、
『それは買った人が選んだ番号で、この売場から買った言うだけやないかい?』
……と、思わず内心で突っ込んでしまいましたw

シーサーの宣伝文句見て思った。


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