白夜城ブログ

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 私は焼香中、おじさんを人気のない所に連れだし、おっさんの奥さんの事、子供がいる事、どこに置いてきたかを説明した。
「なんだったら私が迎えに行きますけど」
「いや、女の子にそんな事をさせるわけにはいかないよ。でも聞き出してくれてありがとう」
 拳を震わせながらも、おじさんは精一杯の笑顔を向けた。母親が亡くなってショックを受けている人に、本当はこんな事言いたくないけど、財布を持っているのはおじさんだから。
「いえ。
 あ、説教はしてくださいね。でも追い詰めすぎるよりは、ほどほどに首を絞めてやる感じの方が良いと思いますよ。グル君のためにも、犯罪に走られたらヤバイですし」
 今はしていなくても、そのうちしそうで恐い人だ。
「グル君の就職が決まったら……10年か15年後、真面目にしてたらあのお金を渡すとか。不真面目だったらグル君の独り立ちの選別にしてしまうとでも言っておけばいいですし。あとは弁護士の紹介ですね」
 一番悪いのはおっさんのクソ妻だ。
「なるほど……」
「ただし、本人にはグル君の進路希望は言わない方が良いですね。何をしても通報されないとしたら、気が大きくなりますから。身内には迷惑をかけてもいいと思ってるのかもしれませんし。
 焼香ぐらいさせてあげたら、多少の罪悪感を持つかも」
 人並みの罪悪感が有れば、普通は……なんだけど、それでも裏切る奴は平気で裏切るから怖い。
「ああ、最初から焼香ぐらいはさせるつもりだったよ。最後だから顔ぐらい見たいだろう」
 そっか。ならいいや。
「問題は逃げた奥さんですね。書類を偽造するのは立派な犯罪ですし。
 犯罪者でも、伯父の元妻だったら大丈夫だと思うしけど、そのあたりは詳しい人に効くのが一番だと思います」
「そうだね。知り合いに頼れそうな人がいるから、聞いてみるよ」
 まあ、私に出来るのはこれぐらいか。
 あとは身内の問題だ。とにかくもうすぐ出棺だから、私が迎えにいってあげよう。そう思っていた時
「おい」
 うちのジジイがいきなり廊下の角から現れた。
「ヒロ防、そのガキは俺が迎えに行こうか」
 どうやら廊下の角に隠れて立ち聞きしていたようだ。なんて好奇心旺盛なジジイだ。子供かあんたは。
「え、いいんですか? もうすぐ出棺ですが」
「ああ。俺が骨を拾ってやるよりも、孫を保護してやった方があいつも喜ぶだろう」
「じゃあ、お願いします。女の子に行かせるよりは気が楽です」
 おじさんはジジイに割引券を渡した。
「ハルカは余計な事を気にせずにガキどもの相手をしてろ。ガキがでしゃばるんじゃねぇ」
「じーちゃん、小さな子を怖がらせずに連れてこられるの?」
「いいから黙ってろ」
「はいはい」
 ジジイは子供の特徴を聞きに、オッサンが閉じこめられている部屋に向かう。
 これ以上する事はないし、私は大人しく皆の所に戻った。
 ま、さすがにあのジジイも、私達が小さなころは普通にデレデレしていた記憶がある。威嚇して怯えさせたりはしないだろう。

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2010/06/07   推定家族   772コメント 4     [編集]

Comment

 

やすべい5922     2010/06/07   [編集]     _

じじいがでれでれ??
創造出来ないって言うか想像したくない(;o;)

-5923     2010/06/08   [編集]     _

いや、たいていのじじばばは孫にデレデレだと思う

れい5924     2010/06/08   [編集]     _

う~ん…血縁関係がわからないんですが…
グル君は、ハルカさんの従兄弟にあたるんですか?
親戚のお祖母さん、てハルカさんのおじいさんから見てなんにあたるんでしょう?グル君がハルカさんのお祖父さんの孫なら、死んだのはお祖母さんになっちゃうけどピンピンしてるし…どうでもいいことですが、気になっちゃいました。

とーこ5925     2010/06/08   [編集]     _

親戚といえば遠い親戚ですが、ただのご近所さんです。
ハルカ弟がグル君が小さい頃は、遊びに来るとよく遊んでやっていたので、ハルカに名付けられてしまいました。


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