白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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2(中一)

 文化祭の準備をしている時だ。
「あ゛ぁあ?」
 ハルカちゃんの不機嫌そうな声が響いた。
 女子グループの一部が微妙に険悪な雰囲気を放っている。
「馬鹿じゃない?」
 どうやらハルカちゃんがキレたらしい。相変わらず沸点が低い。
 あの子達も無茶言ったんだろうけど。
「ジャンケンで決めたんだよね? 忙しい? はぁ? あんたら全員?」
 ハルカちゃんは呆れ顔でグループを見回す。よく見ればあの鈴木さんも混じっていた。
「だって、橘川さんは暇そうじゃん。それに何も指示しなかったら何もしないでしょ」
「じゃあなんで準備が楽なのにしなかったの? 私はちゃんと言ったよね。楽な方が良いから食べ物なら簡単な焼きそばとか、かき氷がいいってさ」
 ハルカちゃんらしいめんどくさがりな提案だった。
「自分達が我を通したんだから、自分達が積極的に動きなよ」
 仕事を押しつけられようとしているらしい。ハルカちゃんが一番嫌がりそうな事だ。
「だいたいカフェがいい、パフェがいい、クレープがいいって、言うだけなら簡単だよ? 試作品作るから材料を適当に買っておいてって無茶だと思わない? 先に何を幾つぐらい売るか最低限のことは決めないと。
 いくらで売って、いくらで何人分作る予定とかさ立てないと、せめて。私一人で試作品の材料買い出しとか馬鹿? いくらなんでも立案者のくせに無計画すぎるよ」
 おいおいおい。
「女子無茶苦茶だねぇ。本人乗り気じゃないの知ってるのに……」
「カフェやりたいって言ったの自分らなのになぁ」
 内装を任せられた男子達は、女子のグダグダを見てげんなりした。
 全員が集まっているわけではなく、文化委員会と部活が早く終わるような文化部が中心だ。演劇部や手芸部は忙しいが、ハルカちゃんの所属している調理部は作る物が毎年決まっているため、前日に準備がある程度で、忙しくはないらしい。
「だから、材料の値段見ないと決められないでしょ」
「おおよそで仮に計算ぐらい出来るよね? それとも自分で買い物しない? そんな偽物のブランド持ってるぐらいだし」
 ハルカちゃんが苛ついている。普段は大人しいいい子なんだけど、キレると攻撃的になるんだ、この子は。
 だから攻撃できる部分は容赦なく刺しに行く。
「ほ、本物だよ!」
「うっそ。おーいむね君」
 ハルカちゃんがこっちを見て手招きする。
「だからその呼び方やめてって言ってるだろ」
 一度胸が欲しいって言っただけなのに、変な渾名で呼び始めた。理由を人に説明できない。ハルカちゃんも説明しないのが幸いだけど。
「これ合皮じゃない? 前に母さんが持ってたのと質が違いすぎる」
「合皮だよ。中国で観光客に売りつけるフェイク。これを本気で本物だと思ってたなら、百貨店にでも行って本物触ってきた方がいいよ。また騙されるから」
 僕もいらつくから、つい笑いながらきつい事を言ってしまった。
 まあ、この子に嫌われようがどうでもいいけどね。顔は多少可愛くても、ちっとも好みじゃないしさ。僕はけっこう足フェチだから、下半身の残念な彼女はまったく好みじゃない。
「よくわかんなぁ。女のブランドだろ」
 真琴君が偽ブランドのポーチに触れる。
 真琴君は見た目が綺麗だけど、やっぱり男の子だからかこういうものには全く興味がない。むしろ私服はかなり残念で、制服を着続けて欲しいと誰もが思うようなタイプだ。
 僕はそんなところが可愛いと思ってしまう。
「合皮と革に男物も女物もない」
「そりゃそーだな」
「それにうちはアパレル関係の一族だよ。素材が本物かどうかぐらいは分かるよ。さすがにスーパーフェイクの真贋は無理だけど。
 将来はデザイナーかカリスマ美容師になりたいから、将来はそれも出来るようになりたいね。本物を知っている美の伝道師とかモテそうだし」
「将来モデルさん紹介してください」
 少し腹が立った。
 以前から、彼が他人と親しげにしているのを見ると腹が立つようになっていた。
 そんな自分にため息が漏れた。
「金持ちになるかモデルさんより大きくなれたらねぇ」
「なったら約束だぞ」
 僕はそれを聞いて笑ってから、女子のグループ付近の椅子に腰掛けた。
「予算適当に割り振ったけど、やっぱ何をするかきっちり決めてからじゃないとまずいっしょ。大まかに試算してから決めた方がいいね。そっちはちゃんと決めたら計算しやすいんだからさ。
 お金掛かってるんだから、しっかりやろうよ」
 男子がこういう事に口出しするのはどうかと思うけど、失敗したらハルカちゃんに責任押しつけそうだもんなぁ。
 幼馴染みとしては助けないと。あんまり構い過ぎてもハルカちゃんへの反感が強くなるから、難しい所なんだけどさ。

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2010/06/03   推定家族   766コメント 4     [編集]

Comment

 

とーこ5894     2010/06/03   [編集]     _

雑巾では複数人を泣かせにくいので、スッポンになりました。
根性のひん曲がった人は現実にたくさんいるので、ネタに困りませんね。

次から波乱?の2年生です。

-5895     2010/06/03   [編集]     _

うーん、こういう人って本当にいるのかぁ・・・
私が知ってるのは、人の発言を誤解を招くように言い換えて他の人にいいふらし、婉曲に悪い印象を与えるぐらいだなぁ。
こういう、ある意味直接攻撃してくる人って知らないや。

a5897     2010/06/04   [編集]     _

んー、まあ、此処まで露骨なのはそういないとは思うけど
会議とかをノリノリで後先考えずぺらぺらしゃべって、後になって面倒になって、仕事から逃げ腰になるって人ならいそう。

というか、まあ、いましたわ。そういうの。キレる事はなくともイラッとはなったなぁ

とーこ5899     2010/06/04   [編集]     _

実際にほぼ同じ事を言った人はいたんですが、出会った事がないのは運が良いですね。
ひょっとして地域性だったんでしょうか。


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