白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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10


 走る事三十分。
 ようやくセーラがいると思われる場所の周辺まで来た。それでもなかなか見つからず、臍を噛む思いであった。
「ここまで来ると、すぐ近くにいるという事しか分かりません」
「場所は特定できたので、良しとしましょう」
 ジェイがアディスにマッピングした地図を見せた。
「ここから道がこうなってるじゃないですか。一周していないから何とも言えませんが、ここにでかい空白地帯がありそうなんですよ」
 地下であるため、通路の方が少なく、空白地帯、つまりは『土』のある場所が多い。そこに別の何かがあってもおかしくない。
 フレアが苛立ち紛れに壁を叩いた。
「お兄さま! 私のセーラ返して! 誰かいたら開けなさい!」
 フレアが声を張り上げた。
「闇雲に探すよりはマシか……」
 ディが呟いてフレアについていくと、唐突に振り返った。
 カランがディの袖の肘当たりを掴んでいた。
「どうした?」
「ここ、空洞」
 カランは壁をスプーンでつついた。
「す、スプーンでつついて分かるのか?」
「蹴った。壊す?」
 カランのブーツのつま先は普通ではなく、加工がされている。が、それでも壁を蹴り破るのは不可能だ。彼がどのような手段を持って壊そうとしているのかと考えると、彼等は薄ら寒くなり首を横に振った。
「そ、それはもう少し……後な」
 ディがカランの頭をくしゃくしゃと撫でる。
「開けないと壊されるわよぉ」
 フレアが声を張り上げながら再び歩く。女に人は低いが男にしては高い声が、狭い地下水路に響いてこだまする。
 しばらく進むと、壁にぽっかり穴が開いた場所があった。
「ここから入れって事ね。さすがに壊されるのは嫌だったのかしら」
 フレアが中に入り、ディがそれに続いた。
「んなっ!?」
 たった一歩でディの足が止まった。
 壁の両ふちに並ぶ人形、人形、人形。
 人形が立ち並び、その全てが音もなくすっと首を回し、一斉に視線を向けた。
 数え切れないほどの眼球に恐れを成し、ディは飛び退いた。
「……ひっ」
 声が出たのは、飛び退いてからしばらくたってからだった。
 アディスは驚きを飲み込み、目を伏せた。
 セーラはこの中にいるのだ。恐がりな所のある彼女が、ホラーハウスのようなこの場所にいて、エリオットのトラウマの元になったこの人形達に囲まれて、あの変態と向き合っている。
 何をされなくても害しかない。
「進みなさい」
 アディスは命じた。
「いや、でも、怖いっすよぉ」
「たかが人形です」
「でもこれ、死体だろ?」
「私よりも死体が恐ろしいと?」
「…………」
 翼の骨で肩を叩く。軽いが硬い竜の骨。大人になるとこの骨が凶器だ。ネルフィアなど樹木を散らしながら低空飛行が出来る。
「見世物小屋に売り払ったら高そうな見た目のくせにっ……」
「つべこべ言わない」
「竜の姿に戻るんじゃなかったんすか?」
「狭い通路に人形が並ばれていたら戻れません。さすがにこれを傷つけたら怒りそうじゃないですか。さすがにそんなくだらない事で本気でやり合うような事はしたくありません。
 それに着ている服も年代物ですが、良い物ばかりです。丈を詰めてセーラに着せたいぐらいです」
 アディスにとって、死んでいる中身などゴミに等しい。だが服は可愛らしいと思った。
「長、ハーティが固まっていますが」
 ジェイは腰が抜けてしゃがみ込んでいるハーティを指さした。よほど恐ろしかったのか、涙を流しながら呆けている。
「ジェイ、私達だけで行くので、彼女を見ていなさい」
「俺もそっちの方がいいんだけど」
「お前とハーティは接触させません。行け」
 アディスが頭を叩くと、ディは渋々前に進んだ。

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2010/05/13   下書き   749コメント 1     [編集]

Comment

 

-5823     2010/05/17   [編集]     _

フレアさんが、セーラ返してと叫びましたが人形師さんは、モリィとセーラが同一人物だと知っているのですか?


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