白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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8

 アディスはセーラが連れ攫われてすぐにカラン達を箱庭のメンバーが経営するカフェに預け、別の場所で『アーネス』から『アディス』へと姿を変えた。滅多に使う事はないが、緊急時に姿を変えるために用意した家だ。最近では下水道に繋げて使っている。下水道からは、隠し通路につながっている場所があり、自分の部屋まで戻る事も、自分が別に借りた場所から出る事も出来る。ただし滅多に使う事はない。特定の家に頻繁に出入りしていれば、いつか目撃されてしまう。墓の場合は出入りしている所さえ見られなければ、墓から出てきても不思議ではない。人が頻繁に訪れておかしくない場所だからだ。
 アディスは走って目的の場所、図書室に到着すると、エリオットを探した。
「ああ、アディス様。お帰りなさい」
 エリオットの向かい側にはジェロンもいた。二人を確保し引きずるようにして図書館を出る。
 子供達がじゃれついてこようとしたが、アディスの鬼気迫る表情を見て見なかった事にするかのように目を逸らした。
「兄さん、どうしたの? セーラは?」
「大変です。いつものアレです」
「いつものアレで見当がつくアレ?」
「そうです。人形師です」
「…………僕、部屋に行く」
 フレアへと変わるために部屋に行くようだ。
「で、どこに行けばいい?」
「北大通りの青いカフェにカラン達が。私達は走ってそこに向かいますから、お前は心当たりを探してから来なさい」
「分かった」
 エリオットは俯いて自分の部屋へと走っていく。
 何か嫌な事があって、引きこもる前兆のように見えた。
「ディアスは?」
「青に。おそらく既に連絡がいって捜索に参加しているでしょう」
 入れ違いだったようだ。彼等は常に二人で行動しているわけではない。頻繁に二人が抜けてしまうと怪しまれる。一人であれば買い物に言ったとでも言える。
 宮廷魔術師は成果さえ出していれば、行動に制限はない。
「とりあえず部屋へ」
「はい」
 二人はアディスの部屋につくと、着替えてからいつものように隠し通路を抜けて外に出た。




 カランとハーティを置いてきた戻ると、ちょうどエリオット──フレアが戻ってきた所で、人形師はフレアの知る場所にはいなかったと首を横に振った。ディは箱庭関係者を使い聞き込みをさせているが、目撃情報はまだ何も届いていないと言う。
「いるとしたら地下だと思うけど、私も知らない所が多いのよねぇ」
「自分の家なのに?」
 フレアが爪を噛んで言い、ジェイが首を傾げた。
「家じゃないわよ。我が物顔で使ってるだけよ。どれだけ広いと思っているのよ」
「それはそうか。そうなるとしらみつぶしになるけど……あれから陛下の命令でかなり調べたそうですが、それらしき場所は見つからなかったようです」
 ジェイは自分の言葉に頭を痛めて首を横に振った。
「まあ、お兄さまはもう人形にしようとは思っていないだろうから、まだ安心できるけど」
「まさか、悪戯をされたりは……」
 アディスは不安を覚えて呟いた。
「ないわ」
「言い切れるんですね」
「セーラって純粋無垢って感じじゃない。そういう穢れ無き少女は清らかでいて欲しいってタイプだから、ただ眺めてるだけだと思うわ。やられている方は、すっごくストレスが溜まるだろうけど。怖いのよね」
 エリオットのトラウマは、人形達の視線だ。
 既に大人のセーラなら、人と目を合わせる事すら怯えるようには鳴らないが、しばらくうなされる可能性は高い。
 彼女は平気な振りをして、夜にうなされるのだ。痛い目はともかく、怖い目に遭った時はそうなる。
「ああ、トロアさんを連れてこれば良かったっ!」
「でも実家にいるんでしょ。言っても仕方がないわ」
 春になると翼がよく動くため、竜は浮かれて動き回る。
「……嘆いていても変わりません。とにかく地下を探しましょう。フレアの知らない場所を優先して探せば、どうにかなるかも知れません。
 カラン、まだかかるので、アジトに戻っていてください」
 カランは立ち上がり、アディスのコートの袖を掴んだ。
「行く」
「行くんですか?」
「ユイ様に言われた。ウル様にユイ様の言いつけ、よく聞くよう、言われている」
「つまり、ユイに頼まれたから頑張ると」
 カランは頷き、アディスは苦笑した。
「では行きましょう」
 もしもの時、戦力としては大きいカランは、荒事においては頼もしく感じた。もしもセーラを帰さないといった時の戦力として。

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2010/05/04   下書き   742コメント 0     [編集]

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