白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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「ところでハルカさん、働いているって言うけど、オレいつも部屋着姿のハルカさんしか見たこと無いんだけど、いつどんな格好で出社してるの?」
 リビングで食事が出てくるのを待つだけのイトコが尋ねてくる。祖母に育てられたためか、男は家事をしなくて良いという環境だったらしい。なので、まずは風呂の洗い方、洗濯機の使い方から教えているところだ。
「家でやってるんだよ」
「何を?」
「プログラマーなの。自分だけ食べられればいいから、そんなに無茶してないの。
 株と為替もやってるし」
「株? デイトレーダー?」
「チマチマと稼いでるよ」
「あぶなくないの? いくらぐらいもうけてるの?」
 何というか、こういう事を話すとみんなこんな事を聞く。
「投資って普通の人が普通に必死にやっても、なかなかもうかんないのよ。じゃないと、私みたいのがもうかんないでしょ。プログラム組んで、任せっきり。あんなん確率の問題だから、意志の弱い人間がやると、損切りに躊躇するんだよね。
 元金以上は滅多に損しないし、無茶はしないことにしているから、危ないって事はない。元金は専門学校行ってた時にバイトしまくって貯めたの」
 こう言うと楽をしていると言われるが、勉強は続けている。常に世間は変わるのだ。技術も進歩する。とくに今は役立ててないし、リスクの高いことはしないけど、役に立つ日が来るかも知れない。どうせ暇人だし、半日は勉強に時間を使っている。だいたい画面の前にはいるけど、常に見てるわけでもないし。
 おかげで英語は旅行に行ってなんとか意志を伝えられて、相手の言っていることがなんとなく分かるレベルになった。読むのは普通の小説を辞書を片手に亀の歩みで読める程度だ。書けないけどね。
 今は映画の字幕に突っ込みを入れるのがちょっとした楽しみである。
「もうけてるんだったら、買ってくれてもいいじゃん」
「貯金は私の老後のための物だからダメ。最低でも三千万よ。老後は何があっても楽できるように、いい施設に入れるお金を準備しておかないと」
 年金だって危険である。今の年寄りは文句を言うが、ちゃんと出ているから恵まれている。私は払い損になる可能性も大きいのだ。
「誰かに頼るのではなく、自分の力で生きていかないとね」
「……ハルカさん、まだ二十代前半だよね?」
「私もそろそろダメよねぇ、あっという間に二十代Uターンで、三十代の大台に手が伸びるんだよ」
「…………彼氏とかは?」
「そんな物好きいないねぇ」
「…………」
 男なんぞとは縁もなく、私自身が結婚もしたくない。だからお金は若い内から貯めておく。いつ事故や病気で困るか分からないから、配当の美味しい安全な株もある。
「あんたも、他人に甘えるのもいいけど、自分でどうにかする手段を持ってからにした方がいいよ。後があるのとないのでは全然違うよ。いい学校出たからっていい生活が約束されるわけでもないけど、可能性は高くなるからね。上手く立ち回る術を身につけないと。
 でも世の中には頭のいい無能っているから、そういうのにだけはなっちゃダメだよ。下手にプライドが高いと、失敗した時に挫折するし。まあ、あんたは要領いいから大丈夫だろうけど」
 まったくおかしな話である。いい大学に行くために人生を費やすはいいが、働く能力を身につけないとその先はないんだって、社会を知っているはずの親まで理解していない場合が多いのだから、本当におかしな話しだ。
 もう少し貯金が貯まったら、投資の金額を増やしてもいいかなぁとか考えている私は、あんまり学校の成績は良くなかった。
 でもこうして並の事務員になるよりは高収入で、会社勤めしているクラスメイトよりははるかに自分の時間がある。プログラマーの残業状況は悲惨だ。大抵はきっちり支払ってくれるが、使う時間がないと嘆いている。素人考えて投資を始めて損をして、やっぱり会社勤めが合っていると嘆いたり。
「オレにも教えてよ。やってみたい」
「あんた、ゲームじゃないんだからね、それこそ自分で稼いで自分でやんなさい」
「言うと思った」
「だったら言わない。ほら、ご飯食べたかったら自分でよそって」
「へーい」
 面倒くさそうに立ち上がり、フライパンの中を覗き込む。
 ハンバーグだと知ると、嬉しそうにするところがまあ可愛いので良しとする。

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2007/08/15   推定家族   71コメント 0     [編集]

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