白夜城ブログ

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
誤字の報告はこのフォームからお願いします


魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

--/--/--   スポンサー広告     [編集]

5



 今日は珍しく、私から彼に話しかけた。
「あんた、どうしたのその髪」
 黒いのだ。黒くなりきっていないが、ヘアマニキュアで無理矢理染めました感が漂っているが、まあとにかく黒い。私がこの美少年に言うのも何ではあるのだが、似合わない。変だ。頭洗ってこいと言いたい。なんかそれでかなり落ちそうな色合いである。
「頭髪検査あったから」
「…………それで通るの?」
「元々、成績よければあんまり文句言われないから。ちょっと明るすぎたから、友達と一緒に染めた」
「あ……そう」
「やっぱ変だよ」
「変だね」
 彼は傷ついた顔をする。自分で言ったくせに、否定して欲しいなんて甘ったれた男である。
「傷んだ髪をいきなり黒くしても変に決まってるでしょ」
「…………」
「トリートメントしてる?」
「毎日してる」
「…………言い忘れてたけど、トリートメントは毎日するもんじゃないよ。三日に一回ぐらいで、他はリンスにしとくといいよ」
「頭に悪いのか?」
「あんたの毛染めが一番悪い。髪の毛細いし、やらかいし、無茶をして若ハゲするタイプだねぇ。私も髪細くて薄く見えるんだよ。うちのじいちゃん、あんたにとってもじいちゃんの若い頃、さらさらのストレートヘアの超イケメンだったけど、二十代で生え際を気にしだして……って話を聞いたよ。あんた、母親似でしょ」
 彼は無言で顔を強張らせる。かなりショックをうけたようだ。容姿に自信があるタイプには、さらにキツイ言葉かもしれない。太りやすい体質なら、気をつければどうにでもなる。しかしハゲは、どうにもならない。隠すか植えるしかないのだ。
「……美容院に行く? 知り合いに腕のいい人いるよ。可愛い男の子好きだから、割引してもらえると思うし。髪も少し伸びてきたしね」
 黒い髪を引っ張ると、やっぱり痛んでいる。
「いいの? 男なんて床屋に行けとか言いそうなのに」
「相手を見て言うよ」
 床屋のオヤジに切らせるのもなんだかなと、私でも思う。
 あと、これをあいつの所に連れていくのが目的なのだ。たっぷりたっぷり、髪について叱られまくればいい。私が言うよりもプロが切々と語った方が効くだろう。
「予定が空いてるかどうか聞いてみるから待ってなよ」
 携帯に手を伸ばして、母からのメールを無視し履歴からかける。
「こんな前にかかってきた通話記録がこんな上の方に……」
「私、仕事以外の知り合いなんてほとんどいないから」
 背後に回り込んだイトコが黙り込む。相手が出たので携帯を耳に当てた。
「今日空いてる? あ、そう。うちの母方の顔立ちした十七歳の少年が一緒なんだけ……え? 別にいいよ。どうせ鍋のつもりでまだ準備してないから」
 話がまとまると即刻電話を切る。
「閉店後に夕飯奢ってくれるって」
「…………どんな美容師さん?」
「害のない美少年好きだよ。カマっぽい男」
 私は逃げ出そうとした17歳の少年を捕まえ、車に連れ込み出発した。

back menu next

誤字の報告はこのフォームからお願いします


魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

2007/08/16   推定家族   70コメント 0     [編集]

Comment

 

Pass:   非公開:    

.

最新記事のRSS

.

更新履歴 カテゴリ コメント

.

.

拍手

.

リンク

.



.

.

.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。