白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 既製品を着られるカランは、様々な服を買い与えられた。
 まずは普段着る古着。新品よりも生地がよれているため着やすく、汚れを気にしなくても良いため、危険な森暮らしにはちょうどいい。その店では聖良とハーティも服を買い込んだ。それをアジトの住所に届けるように手配して店を出る。
 次にカランの礼服を買った。使用人らしい姿に慣れる練習のためだ。
 最後に普通のよそ行きの服を買った。もちろん白いシャツに、爽やかな青い春物コートである。
 その頃にはカランは何も言わなくなっていた。興味のない店に引き回され、疲れ果てていた。そのため昼食と共に美味しいデザートを注文し、それで機嫌を戻す。彼はミラと同じで、とても甘い物が好きだ。
「まるで、男の子のミラさんと一緒にいるようですよね」
 聖良の呟きに、アディスとハーティが頷いた。今日はフレアはいない。部屋に引きこもりすぎると心配されるため、昼間は活発に大人しい子供達の相手をしている。もちろん顔を隠し、人と目を合わせるのを恐れる男の子としてだ。
 甘味屋で少し復活したカランを連れ、次に入ったのは魔道具の店だった。
 ここに来て、初めてカランが喜んだ。子供らしく騒ぐのではないが、積極的に興味深げに見ているのだ。
「約束通り、生活の役に立ちそうな物を、何か一つ買いましょう」
 カランは聖良を見た。その視線を受け、聖良は戸惑い言葉を探す。
「えと……カランが役に立つと思う物を選んでいいんですよ。分からなかったらアーネスか店の人に聞けばいいんです。どういう物が欲しいかとか。
 それで役に立ちそうなら買いましょう。急いでいないから、ゆっくり見てもいいですよ」
 カランは頷き、店を見回した。
「壊さないように」
「はい」
 返事をしながらも、彼は夢中で店内をまわる。一通り見ると、次は気になった物から手に取って見る。分からない事は、店番をしている気難しそうな老人に尋ねた。
「そりゃあ魔術の使えない者のためのランプだ。アーネス様のお弟子さんにゃあ、意味がないよ」
「これは?」
「火をおこす道具だ。魔術の使えない者が使う」
「これは?」
「水を綺麗にする道具だ。災害時に役に立つ」
「これは?」
「包丁を研ぐ道具だよ」
「これがいい」
 保護者達は脱力した。
「ほ、包丁は自分で研げばいいんで、もう少し考えましょう?」
「うん」
 聖良が言うと、彼は頷いて再び興味のある道具を手に取った。
 綺麗な水晶玉、ペン、札、照明などを見ていく。もし許したなら、分解までしそうな程隅々まで見ていた。
「カランはこういう道具に興味津々ですね。作ってみたいとか思いますか?」
 聖良が尋ねれば、彼は首を傾げた。
「どうやって作るか分からない」
 もちろん聖良にも分からない。魔術はアディスが側にいれば使えるが、呪文を正しく唱えているだけで、何か凄い力を感じるわけではない。
「では、初心者用のキットでも買っていきましょうか」
 アディスの提案に、カランは首を傾げた。
「キット?」
「材料が全部用意してあり、組み立て方も書いてあるセットがあるんですよ。いりますか?」
「うん。作る」
 アディスが胸を押さえ、目を伏せた。
 ミラと違い、まともな事に興味を持っている。今ならまだ間に合うのだ。
「では、道具もそろった物を……」
 店主に注文を使用とした所、アディスの言葉が切れた。
 聖良の身体が浮いた。
 その脇には、聖良を持ち上げる手があった。
 聖良が首を回し、背後に立つ人物を確かめる。
「…………人形師さん」
 仮面の隙間から見える、不気味な灰色の目と視線が混じる。
「あの……」
 聖良が首を傾げると、人形師は聖良を小脇に抱えた。
「ちょっ」
「待ちなさいっ!」
 アディスが人形師のコートを掴んで出ていくのを阻んだ。人形師は振り返り、不機嫌そうにその手を払う。
「掴むな」
「いきなり現れて、何を誘拐しようとしているんですか」
「うちに来ると聞いた」
 アディスの顔が引きつった。
「行くのはその子ではありません。拡大解釈をしないで頂きたい」
「男はいらん」
「何を無茶苦茶言っているんですか。ちょ、待ちなさい!」
 アディスは店主に商品をアジトに届けるように一言言い置き、出ていく人形師を追った
「こらっ、とりあえずモリィを離しなさいっ! 無視して進むなっ!」
 しばし茫然としていたカランは、保護者達が出ていったのに気付いて、固まっていたハーティの手を引いて追いかけた。

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

2010/03/05   下書き   696コメント 9     [編集]

Comment

 

-5426     2010/03/05   [編集]     _

セーラには、誘拐属性が標準装備されております。

-5427     2010/03/06   [編集]     _

久々の誘拐が人形師…。
流石は聖良。

愛華5428   久々に   2010/03/06   [編集]     _

誘拐されましたね!
分からない時は効いたら→聞いたら?(でも下書きだから誤字でもいいのでしょうか?)

からす5429     2010/03/06   [編集]     _

あ、そういえばセーラは誘拐が基本装備だった・・・。
最近なかった(?)ので油断してました(笑)
人形師パート2。同じ相手に二度誘拐されないっていう法則はないんですね。

あやみん5430     2010/03/06   [編集]     _

初のコメントですが

聖良はいっそのこと外歩き用にごつい男の頭蓋骨を用意したほうがよいのでは
そしたらひょいと抱えられることはなくなる感じ

とーこ5431     2010/03/06   [編集]     _

誤字はついでに直しておきますね

ごつい男なんかになったら、アディスが泣いちゃいます
聖良が何回目の誘拐にあったのか、もう分からなくなってきました。

-5432     2010/03/07   [編集]     _

じゃあマッチョかグラマラスな美女の頭蓋骨で!
うん無理。

-5433   わかった   2010/03/07   [編集]     _

なら妥協点として、外出用にかわいい少年の頭蓋骨でどうでしょう←

ほら、アディス、かわいければ男の子でも構わないっていつぞや……ねぇ?
男の子なら人形師避けになるし。

うん、迷案。

-5536     2010/03/25   [編集]     _

固まっているのを見て、素直にハーティの手を引けるカランは感覚をつかめば普通っぽくはなれそうですよね。
かわいいなー


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