白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 家に帰ると知らない靴が二つあった。
 リビングを覗くと、知った顔が二つあった。
 お米ちゃんとお兄さん。
「ど……ども、こんにちは」
「こんにちは」
 お米ちゃん、声がうわずっている。意外と男慣れしていないのかも知れない。人は見かけによらないものだから。
「ハルカさんが他人を家に呼ぶなんて珍しい」
「米子ちゃんがこの前この米兄さんの無礼を詫びにケーキを持ってきてくれたの」
 色々、色々と言いたいことが出来た。
 食べ物があるから、そりゃ招き入れるよな。一番始めの疑問と、この場には納得した。
「勝手にあだ名までつけて……」
 トキさんの言っていた事は本当だった……。
「本名とどんどんかけ離れてってるじゃん。その変な癖やめようよ。俺のことは未だにイトコだし」
 兄の方は米とは関係ない名前だろうに、それを米呼ばわり。
 しかしお米ちゃんは軽そうな見た目に反してものすごく普通にいい子なので、ふるふると首を横に振る。
「あ、米ならまだいいよ。うんもとかうんことか言われるよりは。まだ可愛いし」
 きっと、名前のことでイジメられたのだろう。人というのは他人を攻撃するためならどこまでも残酷になる。人を傷つけるのが楽しくて仕方がないという、子供心理はとても怖い。俺も親がいないから変なことを言うヤツいたし。ババコンとか。
 唯一の身内が腰を悪くしてたら、心配しない方がどうかしているだろ。
「君もつけてほしいの?」
 ハルカさんが唐突に突然恐ろしいことを言った。
「スケコマシのすーくんとか?」
「ハルカさん、俺のことなんか誤解してるよ。彼女も一人しかいないし、浮気なんてしてないし!」
「え、そうなの? 二、三人お姉さんがいるものかと」
「偏見だって」
「んじゃあ、どうしようか」
「普通に名前を呼ぼうよ」
「だって君、私の名前と一字違いじゃん。自分の名前呼んでるみたいでねぇ。あ、『暖人』だからぬくとそうだよね。ヌク君で」
「温いは漢字から違うって。しかも嫌すぎる!」
「違ったっけ?」
 パソコン人間は変換機能に頼るので漢字は読めても書けないものである。変なあだ名のバリエーションが広がって恐ろしい。
「あ、そうだ。君が好きそうなモンブランはとっといたよ」
 何で好きだって知っているのだろうか。一度だけ一緒にケーキ屋さんに行っただけなのに。しかもその店のはいまいちそうだったから買わなかったのに。
「コーヒーでいい?」
「あ、自分で」
 コーヒーメーカーに余っていたのをカップに入れて、なぜか固まっている米子ちゃんの前に座る。
「ぬく君も気をつけるんだよ。最近は男の子も痴漢されるらしいし。君か弱そうだから」
「だから、せめてはる君とか」
「ハルはもういるからダメ。それに私もハルちゃん」
「じゃあ普通にハルトでいいじゃん」
 始めに思っていた以上に難しい人だ。こだわり方があまり分からない。「むね」よりはマシだけど「ぬく」も嫌だ。
「はは、仲がいいんだなぁ。イトコっていっても、本当の姉弟みたいだね。うちは親戚といえば正月に会うだけだから、家に来たら緊張するなぁ」
 米兄さんが後ろ頭をかきながら言う。ハルカさんも美味しいケーキに気をよくして、顔をゆるませた状態で応えた。
「大丈夫ですよ。この子なんてほぼ初対面の相手の家に二人きりにされても順応はやかったですから。どうにかなるモンです」
「しょ……初対面でいきなり同居だったんですか?」
「私でもおむつ変えたり、弟と取り合ったりして床に落とした記憶ぐらいしかないから」
 アハハと笑う俺のイトコ殿。よくあることなのだろうが、想像できてなんか嫌だ。後頭部が痛くなるような気がする。
 馬鹿にならなくて良かった……。

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2007/08/24   推定家族   69コメント 0     [編集]

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