白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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「ハルカちゃんが名前を呼んでくれない?」
 トキさんの言葉に俺は頷く。
 前から変だとは思っていた。
 君とかの二人称かイトコかどちらかで呼ぶのだ。
「始めは名前を覚えてないのかと思ったんすけど」
 さすがに自分の名前に酷似した俺の名前を少しも覚えていないというのはおかしい。
「あの子、人を名前で呼ばないわよ。私のことだって滅多に呼ばないし」
「え? なんで?」
 唯一親しい人っぽいのに。
「前髪の長さはこれぐらいでいいかしら?」
「あ、はい」
 この人はかなり変な人のように見えるが、腕は確かによかった。完全予約制なのだが、いつも予約でいっぱいらしく忙しそうにしている。閉店間際に行けばいいのにと図々しいことをハルカさんは言うが、さすがにそんなことはできない。余裕を持って作業が閉店に間に合うように行かないとさすがに悪い。
「ハルカちゃんは弟のことも弟って呼ぶし。だから壁を作ってるとかそう言うんじゃないのよ。でも言えば呼ぶわよ、きっと。私も本名とか、ありえない変なあだな呼ばせないようにするために毎日言い続けたら治ったし」
「そうなんすか?」
「一ヶ月もすると戻るけど、同居してたら忘れないでしょ」
 一ヶ月とは、夏休みとかそういうのだろうか。
「私なんて、むね君って呼ばれてたのよ」
「そんなに変すか?」
 とくにあり得ないとも感じないが。
「私、本名は時正って言うんだけど」
 意外な名前だ。すごく男らしい。
 しかし一字も合ってない。時宗と勘違いしていたとか、そういう事だろうか。
「あの子の胸が張ってきた頃だったわねぇ。私も一度でいいから胸が欲しいなぁって言ったら、そうなったの」
 それは嫌だ。変態みたいではないか。むしろ変態と言われているようで傷つくようなあだ名だ。
「直してもほっとくと変な名前を付けてくれるから、苦労したのよぉ。カマとか言われてたときもあるし。悪意がまったくないだけに厄介なの」
 他の美容師や客がくすくすと笑う。本人は普通だと言い張るが、やはり周りから見れば変な女なのだろう。
「でもキミも大変ねぇ、あの子が保護者なんだから」
「……そういえば」
「その内いつか必ず三者面談あるでしょ。受験だし」
「うっ」
「でも、安心して。外に行くと友好的な態度だから。
 ただ全ての言葉が社交辞令なだけで」
 今度一緒に遊ぼうとか飲みに行きましょうのすべてが実現しないタイプなのだろう。
 先生達にもすげぇ心配されているから、ハルカさん来なかったら絶対に家庭訪問に来るだろう。めんどくさい。

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2007/08/23   推定家族   68コメント 1     [編集]

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-3   管理人のみ閲覧できます   2008/03/06   [編集]     _

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