白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 異様に小綺麗になった部屋を見回し、うちのリビングでくつろいでいる私の唯一の男友達を見て、可愛いイトコは顔を引きつらせた。
「なんでトキさんが?」
「ハルト君お帰りなさい。今日は店が休みなの」
 友人は、友人を連れて帰ってきた私のイトコに手を振る。出会ってからイトコをたいそう気に入ったらしい。
「お友達が来たのね。ちょうどよかった。ハルト君の部屋も綺麗にしておいたから」
「な、ちょ」
「ハルカちゃんに見られるよりはいいと思ってぇ。でも変なモノが見つからなくて残念だったわぁ」
 イトコの部屋からはエロ本の一冊も発見されなかったらしい。引っ越してきたばかりだし、そんなものを買うなら身を飾るようだ。私と違って色気のある大人の恋人がいる少年の余裕だろうか。
 イトコはリビングを見回して、少し納得した様子で肩を落とす。綺麗に片付いてるから、文句をいうのも諦めてくれた。
 今日は友達を連れてくるからせめて見えるところを片付けておけと言われたから、綺麗好きのこの男を呼んだのだ。弟がいなくなってからうちには寄りつかなくなったのに、事情を説明したら、ほいほいのこのことやってきてくれた。
「ハルカちゃんとケーキも作ったの。お友達のみんなは紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「お、お構いなく」
 友達、引いてる引いてる。やっぱり語尾の「わぁ」がいけないんだろう。私は普通だったんだけどね……。
「みんなコーヒーで」
 我がイトコ殿は顔を引きつらせてリビングを通り過ぎた。彼がいつも使う勝手口からは、ここを通らなくてはならないのだ。
「あ、ハルカさん、趣味部屋入っていい?」
「いいよ。散らかさないでね」
 へーいと気のない返事をして二階に上がっていく。事前に聞くだけ、彼は行儀のいい子なのだろう。



 部屋さえ散らかっていなければいいと思っていた。せめてジーンズにしておいてと言っただけあり、部屋着としてなら見られる姿だったし、靴下や下着が落ちていたりしなかった。
 ここに来てから女の人の下着を洗濯するのにも慣れてしまったが、やはり他人に見られると恥ずかしい。
 不安に思いながらも帰ってきてみれば、あのハルカさん以上に濃い男。予想外だった。
 荷物を置いて趣味部屋でくつろいでいたら、トキさんが楽しげにケーキとコーヒーを持ってくるし。せめてハルカさんに持ってきて欲しかった。ハルカさん、普通にしてたら普通に見られる女の人だし、予備知識がなければ面倒見の良いお姉さんだ。トキさんのこと、嫌いじゃないんだけどね。けっこう好きなんだけど……何というか……。
 友人達もそこからはあえて目をそらし、当たり障りのない会話をする。
「しっかし、すごいな。高そうなもんばっか」
「いいよなぁ、金持ちの家で。広いし、うるさく言われなさそうだし」
 友人が立派な部屋を見回して言う。
 たぶん裕福な方なのだろうが、暮らしている本人は一円のために車も使わず自転車で離れたスーパーまで行くような女だ。運動も兼ねているらしい。ハルカさん、スタイルはすごく気にしているから。
「人並みにうるさいよ。少なくともばぁちゃんよりは」
「……ごめん」
「や、別に」
 ここの生活にも慣れてきて、元住んでいた家よりもずっと近いからと、一度遊びに来たいと友人達が言いだしたのは、心配されているからというのもある。
「一番の問題は、小遣い少ないんだよなぁ。この前、ばぁちゃんの遺産分が入った通帳くれたけど、印鑑とキャッシュカードはくれないんだよなぁ」
 減っていないか君の好きなように見張っていなさいと、通帳だけ。
「まだ若いのにしっかりした人だよな」
「考えてくれてるってのは分かるけどさぁ、月に五千円って少なくね?」
 なぜか皆に殴られた。

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2007/08/17   推定家族   64コメント 0     [編集]

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