白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 リストを作り警察の人に渡すと、することがなくなった。
「あ、先生すみません」
「いいですよこれぐらい」
 小腹が空いたと言うハルカさんに、先生が近くの果物屋さんで見舞い用のフルーツを買ってきた。普通は先に買ってくるのだが、この場合は仕方がない。内臓も傷ついていなくて、何針か縫ったが傷もほとんど残らないらしい。入院しているのは、ここにいた方が安全だからという理由もあるんだそうだ。通り魔ではなく、狙って刺されたのだから。
 傷が残らないと言われた時は安堵した。ハルカさんも女の人だから、見えないところにでも傷が残ったら責任が取れない。責任をとると言っても、たぶん鬱陶しいって言われるし。
「ところで先生、ハルトの学校での様子はどうですか?」
「いやぁ、前よりもマジメになったぐらいですよ。綺麗なお姉さんができたからでしょうねぇ」
 それは髪の色が落ち着いたという意味だろうか。髪の痛みがひどいらしく地毛のような真っ黒ではないが、自然な色になるようにしてもらっている。髪の長い女と違ってすぐに生え替わるだろうから、卒業するまで寂しい髪色だ。
 でも先生、鼻の下伸びてるって。化粧に騙されてる。確か先生は独身だ。歳もハルカさんより少し上。法的に問題はないけど、生徒の身内に色目を使うなど、教師としては問題があるだろう。
「成績もいいですし、ものすごく頑張れば東大だって夢じゃないですよ」
「夢じゃないレベルの、遠いけど現実可能な距離、と」
 ハルカさんは本当にはっきりと言う人だ。
「塾もいかずにこの成績を保てるのもなかなかのものですよ」
 先生はハルカさんに果物を剥いているし、退屈だからテレビを付けた。やっぱりワイドショーでやっている。他に大きな事件もないから格好の餌食だ。
 近所の知らないおばさんがインタビューを受けている。
 昔から真面目な子だったとか、今は身寄りのない親戚の子を引き取って育てているとか、幼なじみの彼氏がいて、もうすぐ結婚するはずなのにとか、人の家の内情をべらべらべらべらと……。
「って、ハルカさん、結婚することになってるよ」
 知らない間に婚約していたなど絶対にない。なのになぜ近所のおばさんは語るのか、理解できない。
「やだよねぇ。男が家に来るとすぐに彼氏で、頻繁に来ると結婚って発想。性別を超えた友情とかそういう考えもない品性に欠けるのが、いい年したおばちゃんなんだからタチが悪い」
 相手はトキさんだろう。可哀想なトキさん。今は『彼女』がいるって言ってたのに。
 しかしテレビを見て一番の問題なのは自分なのだと気付く。
「今気づいたんだけど、俺、家に帰れるかな。なんかマスコミに張られてそう」
「そりゃまずいって。友達の所は……迷惑か。トキのところに泊まったら? 実家に住んでるから、面倒見てもらえるよ。おばさんももうすぐ見舞いに来るらしいし」
「一生懸命謝ります」
 しかし、泊まるとなるとかなり気まずい。俺のせいで楽しみを潰されたようなもんだし、合わせる顔がないというか……。
「川崎、先生の所に泊まるか?」
「先生の所?」
「一人暮らしだけど、予備の布団はあるから。下着はコンビニで買えばいいし、制服はシャツだけ洗えばいいだろ」
 なんか先生、ハルカさんにいいところを見せようとしているっぽい。気の強い女の人が好きなのかも。結婚の予定はないとハルカさん自身の口からさっき言ったようなものだし。
「でも、狙われてるのはあんたなんだから、いっそここに泊まったら? 一番安全でしょ」
 言われてみればそうだ。好意に甘えて先生まで巻き込んだら本当に笑えない。
「なら、そうしようかなぁ」
「んじゃ、看護婦さんに聞いてから、トキに電話しておいで。タオルとか色々用意してもらってるから、今なら間に合うよ」
「うんわかった」
 安全面もさることながら、男所帯に一人よりはハルカさんと一緒の部屋の方がいい。男の部屋なんて臭そうだ。
 なんか先生が密かに傷ついてそうだけど、この世のどこに従姉のお姉さんと担任野郎を比べる少年がいるだろう。


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2007/09/25   推定家族   60コメント 0     [編集]

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