白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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12


 昼食が終わり、友人達と勉強会していたときだった。
「おい、なんかここらへんで白昼の通り魔だって」
 気が乗らないと休憩しながら携帯でテレビを見ていた友人が言う。物騒なことだ。米子ちゃんも変質者に追われてたし、暖かくなって変なのが出てきたらしい。目の前に迫る春休みが楽しくない物にならないといいのだが。
 まあ、受験生となる自分たちに遊びほうけている暇などないけど。塾も行っていない俺はとくにさ。
 そろそろ塾も行った方がいいんだろうけど、一番上を見なければ、今の成績で十分だと言われている。ただ、先生はお前は出来る子だから上を目指せって言う。
 ハルカさんに相談しても、大学も出てない自分に聞くなって言う。ばーちゃんだったら、はる君はどこの学校でも合格するよっ! って無責任に太鼓判押しただろうから、現実的な分いいのかもしんないけどさ。
「なぁ、ハルト」
 顔を上げて友人を見ると、慌てた様子で手招きされた。
「こ、これっ、おまえんちの側じゃねぇかっ!?」
 携帯をのぞき込む。モザイクがかかっているけど見覚えがある。車庫があるから、きっと表側……って、
「これうちだよっ!」
「じゃ、まさか刺された若い女性ってハルカさん!?」
 自分の携帯を取り出してハルカさんにかけてみるが、電波が届かないところか~と音声が流れてぶち切る。
 なんか……ぐるぐるする。
「で、でも連絡がきてないから、きっと家の前ってだけで。
 尋ねてくるような電話ハルカさん嫌がるだろうから電源切って家にこもってるとか……」
 教室のドアが開き、落ち着きのない若い担任がこの世の終わりかというような顔をして入ってきた。
「か、川崎」
「やっぱりハルカさんがさささされたんすかっ!?」
 俺は立ち上がり、先生に掴みかかる。
「なんでそれをっ!?」
「テレビっ」
 友人が携帯を振って見せると、先生が奪い取る。
「被害者は命に別状はないのか! よかったな、川橋! 俺、お前の親戚のお姉さんまで亡くなったらと思ったら、もう……もう」
 泣き出す教師。
 こっちも狼狽えたかったのだが、教師の狼狽えぶりを見ると、急に冷めていった。死んでいないなら大丈夫だ。ニュースというのは大げさに言うものである。全治何ヶ月、会ってみると飛び回れる怪我、だったり。
 安堵したら腰が抜けて、床にしゃがみ込む。
「しっかし、連絡が来るよりも先にマスコミが来るってどうなってんだよ」
「よくあるらしいよ。当事者達がニュースで現状を知るとか」
「じゃあ、今頃は病院かな? ハルト、大丈夫だって。ああいうタイプは長生きするから!」
 友人達に慰められ、手を貸してもらい立ち上がる。
 どこの病院なのだろうか。今は自転車通学だから、場所によってはタクシーか。誰かに金を借りないといけない。いや、着替えを取りに行くべきか──いや、家はきっと人がすごいことになっている。では買ってくるべきか。
「って、先生がいた。ハルカさんどこにいるの? そのために来たんだよな」
「あ、ああ。先生が送ってくから。すぐに準備しろ」
「はい」
 タクシー代が浮いた。ついでにあとで買い物するときATMになってもらおう。お金は今必要なのだが、友達に着替えを買うことを見越したような額を借りるのは気が引ける。先生は大人だし手持ちもカードもあるから、あとで一括で返せば常識の範囲内だ。
 現実を見つめると、力が入る。ここで自分が女々しくしていたらハルカさんに笑われるだけだ。
「いいい、いいか、落ち着くんだぞ」
「先生が落ち着いて下さいよ。こっちが事故ったらどうするんですか。お茶でも飲みます? 涙拭いて下さい」
「お前、どうしてそんなに落ち着いてるんだ?」
「先生に立場を取られたからですよ。
 あ、トキさんにも知らせないと」
 携帯で最近登録されたトキに連絡をしながら、彼経由で身内の人に知らせてもらうことにした。俺はおばさんの番号とか知らないし。
 準備をすますと、不安ながらも担任の車に乗る。
 三者面談の前に面談することになってしまいそうだ。

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2007/09/22   推定家族   58コメント 0     [編集]

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