白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 案の定喜んだ。
「真っ白。可愛い! マルタ、可愛い! 真っ白なマルタ!」
 ぎゅうっと抱きつかれ、カルティはまんざらでもない様子でちょろちょろと尻尾を振っている。
 ノイリの力は弱いし、何よりも彼女は可愛らしい。抱きつかれても喜びこそすれ、嫌がりはしない。
「ふわふわぁ。マルタの毛より柔らかいです」
「そりゃあ若い子にはかなわないよ」
 喜ぶノイリの失礼な言葉に、マルタは笑って応えた。獣族のことなど知らなければ、女性に言ってはいけない言葉だとは思わないと、獣族達は知っている。
「若いと柔らかいの?」
「そうだよ。魔族だって、若いうちは肌が綺麗だから、それと同じだよ」
「でも、マルタの毛も柔らかくて大好き」
 ノイリはカルティを放しマルタへと笑みを向ける。拘束をとかれると、カルティは母ではなく目の前の天族をまじまじと観察し始めた。
「こらカルティ。女の子をそんなにまじまじと見つめるものじゃないよ」
「え?」
 母に追い払われて、カルティは首をかしげる。ただ羽を見ていただけなのにと思っているのだろう。
「カルティ、悪いが二人を見ていてくれ。俺は仕事に戻る。それまでここで保護してくれると有り難い」
 部下も上司もほっといて来てしまった。しかし結果的には女王陛下の客だったわけで、放置するわけにもいかないので仕方がない。すぐに戻れば問題ないと考えていると、同僚二人が困惑した。
「ええ、遊ぶんじゃないのかっ!?」
「こんな時だし、どうせ向こうも戻ってこないものだと思って安心しているのに、戻ったらみんなが可哀相だろ」
 口喧しい上司など出て行ったままの方がいいだろうし、身分の高い部下など目の上のたんこぶだろう。理解している。しかし、だからといって遠慮するつもりなどない。
「お前達がさぼりたいだけだろう。勝手についてきたくせに」
 彼らの顔が引きつる。
 始めて見る種族をもっと見ていたいのだろう。
「ニアス様、もう行っちゃうんですか?」
 ノイリが瞳を潤ませてニアスを見上げた。この目に、ニアスは弱い。
「終わったら来る。そうしたら城の中を案内しよう」
「本当ですか?」
「ああ、本当だ。だから、安全なここで本でも読んでいるといい。カルティに言えば、一緒に本を選んでくれる」
 ノイリはニアスの腰にぎゅっとしがみつき、見上げて笑う。
「約束です」
「ああ、約束だ」
 まったく可愛い奴だ。
 同僚達がニヤニヤと見ているが、同じ事をされればよほどの冷血漢でもない限りは似たような反応をするだろう。この子は可愛いから。
「ちょっと!」
 左手からタックルをうけた。子供の力であるためそれほどの衝撃はなかったようだが、ノイリは驚いてニアスから離れる。
「ニアス様にしがみつくなんて、なんてはしたない子なの」
 ぷりぷりと怒る女の子の声にノイリはびくりと震え、ニアスの陰から出てきたのを見ると微笑んだ。
 ニアスに突撃したきたのが、赤いリボンの印象的な可愛らしい白猫の姿をしているからだ。
 可愛い生き物二人は、片方は怒って、片方は喜んで見つめ合った。

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2007/09/09   窖のお城   56コメント 0     [編集]

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