白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 友達の家での勉強会を終えて帰ってくると、リビングに知らない女の子がいた。すっげぇ可愛い女の子。
「あっ、お、お帰りなさいっ」
 彼女は正座をして丁寧に頭を下げる。その一連の動作は、あれだ。茶道とか習っている、すっげぇ育ちのいい子の動きだ。三つ指をつくとかいうやつだ。
「た……ただいま戻りました」
 こちらも正座して、手はつかずに頭を下げる。慣れていない俺が真似しても滑稽だ。
「って、あんた達何やってるの?」
 トイレから戻ってきたらしいハルカさんが首をかしげた。水が流れる音がするからたぶんトイレ。
 パジャマを着ていて、もう風呂に入った様子。すっかりくつろいでいる。
「こ、この子は?」
「私らのイトコのハルナ」
 そう言えば伯母さんは二人いる。
「倉田春奈です。これからよろしくお願いします」
「川崎暖人です。よろしくお願いします」
 お嬢様だろうか。ハルカさんもいいところに住んでいるけど、彼女は育ちもいいように感じる。
「先に言ってくれれば外に行かなかったのに。どこらへんに住んでるの?」
「あれ、言ってなかったっけ? 今日からけっこう一緒に住むから」
 ………………………。
「住む!? けっこう!? けっこうって何!?」
 けっこうのせいで余計に混乱する。
「あ、ほら、あれ、学校と家がちょっと遠いから、女の子は一人で帰すの心配でしょ?」
 そりゃあこの子を一人で暗くなってから帰すのは心配だ。俺が親なら毎日迎えに行きたい。
「結局、住むって結論でいいんだね?」
「んまあ、週に一度は帰るのかな。君の学校の後輩になるから、可愛がってあげてね」
「後輩!?」
「そう。ハルナ、ハルトお兄ちゃんは頭いいからわかんない事あったら、私じゃなくてこっちに聞くんだよ。人間、現役離れると数年で何習ったか忘れるから」
 というか、学習のレベルも違っただろう。ハルカさんとトキさんは受験勉強が嫌で楽に合格できる学校を選んだと言っていた。望んで受験勉強で苦しむ俺とは、考え方が違うのだ。
「そういえば部屋は? 一階の和室?」
「ううん。うちの親の寝室を和室に移して、そこにハルナの荷物置いたよ。女の子で一階だとさすがにね。うちに越したのが、中学の時にストーカーに追われた事があったからだし」
 これだけ可愛ければストーカーも出るだろう。ジジイの血だという母方の血を感じさせつつ甘い感じの、とにかく清楚な可愛い顔立ちだ。男は好きだろう。俺は逆のタイプが好きだけど、彼女のようなタイプはとにかくもてる。
「ハルトお兄さんは年上の熟女好みだから身の危険はないからね」
「ちょ、熟女って、そこまで上はいくらなんでもっ」
「違うの?」
「二十代半ばぐらいかな」
「まあ、ハルナと比べたら一回りぐらい違うし」
「そりゃそうだけど」
 熟女と大人の女は違うだろう。うん、かなり違う。二十代で熟女とは言わない。
 しかし、見れば見るほど同じ血を引いているのにハルカさんとは大違いだ。何が違うって、大人しそうなところが違う。押しも弱そうだ。
「まあ、俺の事はどうでもいいだろ。
 それよりも、ハルナちゃんよろしくね」
「はい」
 彼女は可愛らしく微笑む。
「実の兄と思って遠慮なく頼るんだよ。他人行儀よりも喜ぶから」
「はい。ハルトお兄ちゃん、ふつつか者ですがよろしくお願いします」
 お兄ちゃん……。
「ハルト、嬉しいは分かるけど、顔ゆるんでるよ」
「えっ!?」
 確かに嬉しいが、嬉しいが……ハルカさんが爆笑する。腹を抱えてふらつきながらキッチンに向かっていった。ハルナちゃんもそれを追う。
 からかわれた俺は、荷物を置きにすごすごと自分の部屋に戻った。でも一人っ子としては『お兄ちゃん』はかなり嬉しい。

 こうして親戚がまた一人増えた。

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
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2007/10/28   推定家族   54コメント 0     [編集]

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