白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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20

「うちの両親が海外出張に行く主な理由は、ウザい身内から逃れるためなんだよね」
 おばさんが来た翌日、洗い物を手伝っているとハルカさんはぽつりと漏らした。
「……え?」
「本当はずっと向こうにいる必要もないけど、本人達の希望で海外住まいなの」
「…………」
「どっちの実家も、それなりに問題があるから」
「…………」
「同居防止のために家を買い、海外に逃げ、私の堕落的生活にもゴーサイン」
 おばさんは日本のテレビ番組を堪能している。海外ではなかなか見られないホラービデオも借りてきた。
 ハルカさんの趣味部屋にあるホラー関係のビデオは、どうやらおばさんが買ったものらしい。ハルカさんも好きだけど、日本のホラーは一人だと怖くて眠れなくなるから見ないらしい。
 弟がいた時は部屋に潜り込めたけど、さすがに俺の部屋には潜り込めないという理由から。弟の部屋にでも潜り込むなよと、ちょっとだけ思った。
 一晩一緒にいてくれるなら見るらしいけど、勉強の時は無音でないと集中できないからなかなか難しい。俺、ホラー好きじゃないし。
「というわけで、あんまり居心地を良くすると里心がついて戻ってくるかも知れないから、あんまり居着きたくなるようなことはしないでね」
「…………ハルカさん、おばさんがいない方がいいの?」
「いるとうるさいから、大人になったら親とはたまに会うのが好きでいるための条件だよ。それにたぶん、いたらあんた太る。私は太りたくないから」
「…………そ、そうなの?」
「母さんの料理、脂っこいし、おやつも高カロリーなの。だから私は美味しくカロリーオフのために日夜努力してんだからね。昔はけっこうデブだったけど、中学ぐらいから一人だけ違う物食べるようになったら痩せれた」
 ああ、だからハルカさんの料理は和食が多いのか。俺はばあちゃんに育てられて、和食の方が好きだからそれでいい。むしろ毎日違う物を食べるという状況に衝撃すら覚えた。昔の人は作り置きして三日は同じ物が出てくる。
 我が家の夕飯の残りも、弁当とハルカさんの昼食に消えているので、次の日の夕飯は確実に違うメニューだ。次の日に出すような事があっても、手を加えて別の料理にしてくれている。カレーならカレーうどんとか。
 和食が多いとは言っても、ちゃんと揚げ物もするし。なんかスプレーで油かけて、とても揚げ物には見えない調理法だったりするけど。
 油も何種類もあって、料理により使い分けている。俺、普通の油とごま油しか見たことなかったから、油だけで五本も六本も並び、酢だけで三本も四本も並んでいるのに驚いた。石鹸の材料を料理にも作ってるだけらしいけど。
「ってわけで、明日から煮物と焼き魚とか続くから。はじめは喜んでも、そのうち飽きて戻ってくよ」
「…………親子でえらく味覚が違うんだね」
 ハルカさんは芋の煮っ転がしとか、ブリ大根とか大好きな人だ。大根とこんにゃくだけが異様に多いおでんを作って、ひたすらそれらを食べてたりするぐらい、カツオと昆布だしが好きだ。
「その割には、おばさん痩せてるね」
「特別太らない体質なの、あの人は。でも父さん太ってるから」
 リビングの写真立てに、家族の写真があるから知っている。ただの中年太りだと思っていたが、そんな背景があったとは思いもしなかった。俺も太ったことはないけど、暴食したことないからそんな体質かどうかは分からないので、健康的な食生活を続けよう。
「あ、朝食はご飯と味噌汁と納豆だから」
 今までその日の気分で食べていたのだが、パンは冷凍庫の中に封印するらしい。食パンは冷凍できる物だとは、ここに来て初めて知った。ばあちゃんの作る朝食はそれこそご飯と夕飯の残りに卵かノリだったから。
「俺、干物がいい」
「…………君は、本当に渋いね。高校生のリクエストじゃあり得ないっていうか……。
 美味しそうなの見つけたら買ってくるよ」
 ハルカさん、干物は肉厚で美味しそうなのがあった時にしか買ってこない。それがすごく美味しい。きっと俺が今まで食べていたのとは、値段が少し違うんだと思う。ハルカさん、食材はケチりながらもこだわりを持っているらしい。
「じゃあ、きんぴらでも作るか。きんぴらと干物と味噌汁。あとは山菜でいいのがあったら買ってこようかな」
「うん。俺、きんぴら好き」
 というか、嫌いな物がほとんどないというか。
 思いつくのが、果物が入れられた料理ぐらいだ。
「君は楽でいいねぇ」
 ハルカさんに負担をかけないのなら、それに越したことはない。
 居候の身としては、不味くても不平不満は言えない事を思うと、自分は運がいいと思う。

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2007/10/27   推定家族   53コメント 0     [編集]

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