白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 かなり本気な俺の将来設計を、突然笑って踏みつけにするような声が上がった。
「あははははははっ、ハルカさんと結婚のために進学っ! ちょ、ウケるんだけどっ」
 いつの間にかいた小森さんが誰かの机を叩いて爆笑している。
 いつもとキャラが違う。味オンチ以外はもっと大人びてすました子だったのに……。
「そ、そこまで笑わなくっても」
「だって、ハルカさんと……ぷっ」
 また机を叩き出す。
「相変わらず、ツボにはまると暴走笑いする奴だな」
「コモちゃん、戻ってこーい」
「いや、ハルカさん思い出して笑いが……とまらっ……くひひひひひっ」
 壊れた。小森さんが壊れた。
 俺はただ、ハルカさんと結婚するため、自分の将来のために頑張ってるだけなのに。
「なんか傷つく。すげぇ傷ついた」
 ハルカさんはいい女だし、そんなに笑われる事ではないはずだ。
「だって、私の知ってるハルカさんって、婚姻届けを書いてくれたとしても、引き替えに離婚届書かされるから!」
「あ…………」
 なんかすごくハルカさんっぽい。出したきゃ出せ。こっちも出すから、と。
「小森、文通してすっかりハルカさんと仲良くなったな」
 うう。ハルカさんひどい。
 そんなハルカさんもハルカさんらしくて大好きだ。
「でも俺、離婚届出されないように頑張る」
「どうやって」
「みんな一斉に突っ込むなっ!」
 友達なのに誰一人として応援してくれない。心にもない事を言わない仲と思い込むには、みんな少しも信じてないから無理だ。
「そういえば、ハルカさんと沖縄に行くんでしょ?」
「え……何で知ってるの?」
「最近メアド教えてもらったの。手紙のやりとりもいいけど、とくに教える事はもうないって。今まではメールだと面倒くさくて短くなっちゃうから、伝えたい事を書ききれなかったんだって」
 そういえば、ここ最近は手紙を渡されていない。
 変なところで几帳面なハルカさんらしい。手を抜く時はとことん抜くけど、手を入れるところはとことん入れる。
「沖縄って、ハルナちゃんも?」
「いや、ハルカさんと二人で。懸賞で当たったんだぁ。飛行機初めてでさぁ」
「…………」
 突然、みんながひそひそ話を始めた。
「え? 何? 沖縄なんかあるの?」
「ハルト、犯罪だって言ったのは自分だぞ?」
「は? 何で?」
「離婚されないって言ったら、既成事実を作っておくしかないだろ」
「そんな卑怯な事誰がするか。ハルカさんはけっこう純情なんだぞ」
 テレビでラブシーンなんかを見ると、つまらないと言ってチャンネルを変えたり。
 心の底からつまらないと思ってる可能性もあるけど、確実に照れはあるはずだ。
「ハルカさんを純情って言うのはさぁ、こう……純情って言葉を穢してるようでなんかやだ」
「ええっ、なんで!?」
 友人のひどい発言に俺は声を上げた。
「だってさ、ハルカさんは……女傑って感じだ」
 ん……まあ、否定はしない。
 他人などいなくても生きていくって後ろ姿は大好きだ。一人で満足って雰囲気も、本当に満足してそうで悲しいけど矛盾もなくて大好きだ。
「確かに一緒に旅行はするけど、今更だろ。うちの部屋に鍵なんてないし、ハルカさんは基本的にどこでも寝るし、普段は納戸で寝てるし」
 何も好き好んで一番狭い納戸で寝なくてもと思う。でも夏は風通りが良くて涼しく、冬は断熱材を貼り付けると意外に温かいそうだ。日が差し込まないのも気に入っているらしい。
「それで何もしないってのも失礼な気もする」
「なんで? 二人で暮らしてた時も何もなかったのに」
「完全に男としてみられていない」
「こ、これからだよ! ハルカさんテレビを見て、いい年して未成年と付き合うなんてって、顔しかめてたから、二十歳になってからが勝負だよ! 長期戦覚悟だから!」
 ハルカさんは告白してからが勝負だ。短期で落とせなかったら、卒業するまで四年間、ひたすら口説き続けてやる。
「鬱陶しがられても、出てけって言われても、諦めないからな」
 そう、諦めない。ハルカさんに対してはそれが大切だ。いつか呆れて諦めてくれそうだから。
「……マジなのか」
「勇者だ……」
「アマゾネスに挑む歴戦の勇者か」
「むしろ魔王クラスだろ」
「独身最後のラスボス? 独身を終わらせるためのラスボス、か」
 なぜか上手い事言った、みたいな顔をする友人達。
「な、なんでギャルゲじゃなくてRPGになるんだ」
「だってそんなん無理ゲー」
「は? 無理?」
「マゾゲー?」
「マゾ?」
「まあ、世の中には難易度高いゲームを好んでやるマゾがいるからなぁ」
 なんかひどい言われようだ。でも俺は負けない。負けるもんか。
「でも、どんなゲームでもエンディングさえあれば目標達成できるからなぁ」
「もうほっといて」
 ゲームとかもうどうでもいいし。
 俺は生きた人間の女の人を好きになったんだ。融通の利かない、決められたとおりの言葉と反応を返すゲームの中の女ではない。
 ハルカさんは融通が利かないガチガチに頑固な人だけどさ……。

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
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2009/05/31   推定家族   489コメント 6     [編集]

Comment

 

-2954     2009/05/31   [編集]     _

ハルカさんが魔王クラスに・・・
勇者のくせに生意気だとか言いそう。

そしてハルトやっぱり本気だったんだ

ヤカエ2955     2009/05/31   [編集]     _

あぁ、ハルカさんが魔性の女を超越した魔王級になってしまわれたのですね。

勇者「ハルカ(魔王)さん!世界を半分づつ二人で支配しましょう!」

魔王「さっさとでてけ」

うなぎ2956     2009/06/01   [編集]     _

魔王ハルカって違和感ないとこが素晴らしいw
ハルトはレベル低いし、攻略法もないのに魔王城に着いちゃった勇者って感じです。
一発逆転なイベントorアイテムが必要…

からす2957     2009/06/01   [編集]     _

けいちゃんと大樹君っぽくて笑いました。
ハルトがんばれー。

-2958     2009/06/01   [編集]     _

魔王が勇者を育成していることになるんだが、
そうなると真のラスボスは別にいて、やぶへびつついて正体を現さないかが不安になる。

そー2959     2009/06/01   [編集]     _

ハルカさんが強すぎて、がんばれとしか言いようがない笑
ハルトがんばれー!


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