白夜城ブログ

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
誤字の報告はこのフォームからお願いします


魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

--/--/--   スポンサー広告     [編集]

5

 ノイリは白猫のリズィと見つめ合う。
 とても可愛い。可愛くてぬいぐるみのように抱きしめたいが我慢する。そのかわりカルティに触れる。撫でるとマルタが喜ぶところを撫でる。きゅぅっとなってとても可愛い。
 カルティに触れているのに、リズィと目があった。睨まれている。なぜだろう。
「ちょっとあなた、カルティはそれでも男性よ。男性にベタベタ触れるなんてはしたないわ」
「はしたないですか?」
「そうよ」
 触れられるのはノイリの仕事のようなものだ。自分から触れるのが良くないのだろうか。
 考えていると、後ろから翼を引っ張られた。
「くすぐったいです」
 最近ではこれにも慣れたが、優しくされるととてもくすぐったいのだ。子供達に乱暴に引っ張られるのとは少し違う。
「こら、カルティ! あなたも女の子に軽々しく触れるなんて、何を考えているの!?」
「でも、羽だよ! 鳥の羽なんて、飾り以外で見たの初めてだよ!」
「珍しいのは承知しているわ。でも、子供でも女性なのよ。ニアス様に任された以上、この鳥を世話するのは私の仕事よ。さっさと暇つぶしにでもなるような本でも選んでらっしゃい」
 ぷりぷりと怒るリズィも可愛い。尻尾を揺らすと、ちりりんと音が鳴る。今度、五区の友人達にも作ってあげよう。きっと可愛い。兎さん達には耳につけてあげよう。きっととっても可愛い。男の子だけど。
「まったく、距離感のない人達は嫌になっちゃうわ。ノイリだったかしら。お茶を用意させるけど、嫌いな物はあるかしら」
「嫌いな物はないですけど、太るものはあまり飲食できません」
「ダイエット?」
「天族は本当はもっと、ガリガリなのが普通です。私は肥満で……たぶんエンダー様ぐらいの肥満なんです」
 最近、こう言えば理解してもらえるとようやく分かってきた。なぜかエンダーぐらい太っているというと、皆顔色を変えて痩せる方法や太らない食材を教えてくれる。
「そ、そうね。だったらお茶だけにしましょう。ダイエットにいいお茶よ。今流行なんだから」
「わぁ、うれしいです」
 エンダーにもダイエットしてもらいたいが、一緒に身体にいいお茶を飲むと、後でお菓子を食べている。ノイリには隠しているようだが、ちゃんと知っているのだ。
 エンダーと結婚する人は、生活管理をしっかりしてくれる人なら嬉しいのに、と思ってしまう。
 ノイリは飼われている身だが、妻ともなれば対等の立場だ。もう少しだけ身体を大切にするように説得して欲しい。肥満は万病の元である。
 ぽーっとしている内に、カルティが本を用意し、マルタがお茶を用意してくれた。
 置かれた本を見る。ノイリの知る本とは、少し雰囲気が違う。
「何ですかこれ」
「若い女の子に流行の恋愛小説だよ。女王陛下がお気に入りのシリーズなんだ。ノイリも同じ年代だし、どうかなって思って」
「こういうの読んだことないです。読んでみます」
 マルタも不思議そうに後ろから覗き込んでくる。いつも読んでいる本と違って、とても簡単な文章の本だ。
「あ、リズィ、そういえば最新刊が手に入ったけど、先に読む?」
「もう手に入ったの? 早いのねぇ」
「出版社の人と知り合いになったんだ。女王陛下がファンだって言ったら、外には漏らさないって条件で刷り上がったばかりのを持ってきてくれたんだよ」
「ちょ、どうしてそう言うことは早く言わないの!?」
「言ったら陛下が騒ぐよ。知り合いになったなんて言ったら、作家本人に会わせろとか言い出すよ。そんなことしたら相手がストレスためて書けなくなるよ」
 リズィは思い当たることでもあるらしく、それ以上は追求しなかった。
 一体、女王陛下はどんな方なのだろう。
「だから発売数日までは内緒だよ。その数日前でも、いつもたくさん買っているから早く手に入る本もあるってごまかしといてね。僕が言うと、なんかへましそうで怖いから君からさ」
「そういうことならいいわよ。まかせておいて」
 よく分からない会話だが、ノイリはとりあえずニコニコ笑う。女の子が分からない時は愛想よく笑っていればいいのだとエンダーが言っていた。
「そうだわ。ノイリ、ニアス様が戻られたら、一緒にディナーに行きましょう。太りにくい料理も取りそろえた店があるのよ」
「はい。エンダー様がいいと仰ったら」
「エンダー様こそ必要でしょう。ニアス様を説得して、説得していただけばいいのよ。そうよ。いいわ」
 彼女は自分の案が気に入ったらしくて、うんうんと頷いている。
「リズィは本当にニアス様好きだね」
 カルティが眼鏡をちょいと持ち上げながら言った。
 ああ、だからノイリを口実にして、本当はニアスと一緒に夕飯を食べたいのだ。
 ノイリもニアスが好きだから、一緒にご飯を食べると、違う物を食べていても嬉しい。リズィもきっとそうなのだろう。

back   next

誤字の報告はこのフォームからお願いします


魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

2007/10/10   窖のお城   47コメント 0     [編集]

Comment

 

Pass:   非公開:    

.

最新記事のRSS

.

更新履歴 カテゴリ コメント

.

.

拍手

.

リンク

.



.

.

.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。