白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 その夜、ノイリを先に寝かせ、ニアスは兄妹と供にエスティーダとテーブルを囲んだ。
「やはり、本当だろうと嘘に近くてはダメか……」
 エスティーダも反省した。
 美人が揃っていたが、一目見て顔を引きつらせたり、思いを口に出してしまったりしたらしい。
 エンダーはそれはかまわないタイプだ。むしろ彼に一目惚れする女がいたとしたら、弟のニアスから見ても胡散臭くてならない。ノイリのような何も分かっていない女ならともかく、そういう腹の黒い女の方が危険だ。だったら始めから割り切っていた方がずっといい。
「むしろ、先に現実を見せておいた方がよかったと思います」
 ラクサは酒をちびりと飲んで呟いた。
「しかし、誰しも咄嗟の時に素直な反応が出る物じゃ」
「私でも、見合い相手に別人が出てきたら驚きます。驚かない女がいたら、その女の存在に驚きます。年齢を誤魔化す程度の違いではありません。詐欺です」
「そうか……」
 エスティーダは腕を組んだ。さすがの彼女も深く反省している。
「覚悟をしてからの見合いなら、ひょっとしたら話をして中身を見てくれた女性がいたかも知れません。それを最悪のパターンで潰してしまいました」
「確かに……な。
 すまなかったな、エンダー。わらわも悪かった。しかしダイエットに成功せぬそなたが一番悪い」
 エスティーダは言い切った。
 結婚できない主な理由はそれだ。今回の失敗はエスティーダのせいだが、彼女の言葉自体はまったく否定できない。
 ニアスはため息をついた。
「兄貴、ノイリの婿の心配しているらしいが、他人の心配をしている場合じゃないだろ」
 ヘイカーを見ると、彼はすまなさそうに頭を下げた。彼も独身である。独身の王に、独身の配下。
「そんな心配を? 愚か者が。ノイリほどの美女なら、婿など掃いて捨てるほどおる。ニアスでも良い」
「待て。いや、待ってください!」
 名前が突然挙がったニアスは当惑した。ノイリはまだ子供だ。無邪気で、可愛らしく、婿の心配をする必要などまだ必要のない子供だ。
「ニアスでなければヘイカーでどうじゃ」
「いやいやいや」
 年齢差がありすぎてもっとタチが悪い冗談だ。
「そ、そのような……。年の差が」
 ヘイカーはよほど驚いたのか、襟巻きが立っていた。彼が襟巻きを逆立てるのは、厳しい戦いの時だけだと聞いている。
「年の差などノイリが気にするか」
 ヘイカーは戸惑ったが、少しばかり考え込んだ。
「まてまて。真剣に考えるな。その姿を五区の子供達が見たら幻滅するぞ?」
「そ、そうですな。申し訳ありません、エンダー様。
 ノイリは私にとって娘のような存在。目の中に入れても痛くないほど可愛く、嫁になどやりたくはない、というのは紛れもない真実でありますが」
 主従、どっちもどっちだ。
 ニアスはため息をついた。
 ノイリは愛されている。あの容姿にあの力にあの性格。愛されないはずがない。人間達にも愛されていた。彼女は愛されるために存在しているかのようだ。
 もちろんその性格のためにかえって嫌われることもあるが、それは歪んだ心のためと言える。
「順当に考えれば、テルゼの天族や、闇族か魔族じゃ。いっそ、ユーリアスの弟はどうじゃ?」
「うぅん……悪くはないがなぁ。
 ティリスに洗脳されたらどうなる事やら。わしはあの子達の将来が、少しばかり不安だよ」
「…………確かに、それだけは少々気になるな。
 しかしノイリが適齢期になるまではまだまだある。そなたよりも先に結婚する事は無かろう。まず先に、そなたの嫁探しじゃ」
 その言葉で、沈黙が落ちる。
 ノイリほどの容姿と声なら、どんな男も虜に出来る。心配するだけ無駄なのだ。あとは彼女が誰に恋をするか、それだけだ。
 しかしエンダーは違う。
 太ってしまったために醜くなり、本人が好みにうるさいため結婚できていない。
「とにかく、跡取りだけは作ってもらわねば。五区は最も安定した区じゃ。乱してもらっては困る。混乱は伝播する」
「承知しております」
「まったく。危機感が足りぬ。やはりそなたの祖母に、きつく言わねばなるまい」
「そ、それだけは……」
「却下。女の機嫌を取るつもりがないなら、国中の女と見合いせよ」
 エンダーは大きくため息をついた。
 自業自得だ。痩せれば選べる相手は増えるのに、その努力を怠る彼が悪いのだ。ノイリですら心配して、痩せさせようとしているのに、それでも改善しない。痩せるのが嫌なら、女を選ぶ事を諦めなければならない。
 すべてを自分の思う通り出来るほど、今の彼は優れていないのだ。
 昔のエンダーなら可能だったのにと、ニアスは兄の事ながら情けなくて頭が痛くなった。

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2009/04/18   窖のお城   460コメント 10     [編集]

Comment

 

とーこ2715     2009/04/18   [編集]     _

兄弟に正反対のフラグですね。

G.G.2716     2009/04/19   [編集]     _

もしかして、詐騎士の時まで、エンダー様独身フラグ?

2717     2009/04/19   [編集]     _

ふと思ったのだけれど、エンダー様が子息を残さないまま亡くなった場合、ニアスが王位を継ぐことは出来ないのでしょうか?
結婚? 自分の中ではエンダー様は純潔を守りとおしております。

社怪人2720   昔のエンダーは「出来る」人…   2009/04/19   [編集]     _

やっぱり権力を掌握してうまく領地経営が出来るようになって安心した。のが太り始めだったんだろうか?
だとしたらどっかに火種を抱えていたほうがエンダーのためだったのかも(笑)

とーこ2721     2009/04/19   [編集]     _

エンダーのはストレス太りです。ストレスを食べて発散させていたんですが、身体を鍛えていた頃と違ってそれがすぐに身になってしまいました。
だから昔は普通に恋人ぐらいはいましたよ。

アフロ姫2722     2009/04/19   [編集]     _

エンダー様…恋人居たことがあるんですね。ちょっと想像ができません(笑)若かリし頃が見てみたいです。ニアス様も、今まで恋人は居たことあるんでしょうか?

-2723     2009/04/19   [編集]     _

窖のお城が更新されてるー♪やった!!

エンダーさま結婚できるのかなぁ~ノイリの子供が後を継ぐことになったりして☆

uri2724     2009/04/19   [編集]     _

お見合いは失敗と・・・エンダー様可哀相
詐騎士時点でも太ってたというのは、結婚しないでズルズルいく感が漂ってますね(涙


からす2725     2009/04/19   [編集]     _

きっとルーフェス様がノイリを味方につけてルゼ並に厳しくエンダー様ダイエット計画を決行してくださるって信じてる。
しばらく先の話になるけど(笑)

-2726     2009/04/19   [編集]     _

エンダーさまはともかく、ヘイカーさんはどうして結婚してないんだろう。


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