白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 ニアスに可愛いと褒められたのに、リズィは沈んでいた。
「ニアス様…………」
 カルティがずり落ちた眼鏡を直しもせずに、手を前に出したまま動かない。
「ニアス様は昔からこういうお方だよ。昔のニアス様は、ノイリによく似ていたからねぇ」
 マルタがリズィの背中を撫でながら言う。
「はぁ?」
 マルタの言葉を聞いて、ニアス様が変な声を出した。
「さあさあ、お茶を入れなおしましょう」
「いや、俺のどこがノイリと似てるんだ?」
「甘い物を用意しましょうねぇ」
「いや、待て待て、一体どこが?」
 ニアス様は焦っている。
「私と似ていると嫌ですか?」
 ノイリは必死なニアスの姿を見て、少し傷ついた。
 ノイリもニアスやラクサのように、格好いい大人になりたいと思っているのに、これを否定された気分だ。
「いや、嫌とそういう問題ではなくて、こんな形でそう言われると……。
 ノイリは俺に似ていると思わないだろ? 何もかも違いすぎる」
「……はい」
 ノイリも、自分自身がニアスと似ているなどとは、まったく思わない。
 ニアスはとてもキビキビと動く。似ても似つかない。
「はいはい。美味しいクッキーですよ。ほら、リズィも。気にしていたらきりがないから、甘い物を食べて元気を出しなさいな。ニアス様は昔から誰に対してもこうだから。
 だからニアス様も結婚は遠いねぇ。繊細な女心が分からないから」
 ニアスは首をかしげる。
「ひょっとして、リズィは純血婚が嫌なのか? 血統を大切にしそうな雰囲気だから、てっきり……」
 マルタが呆れ顔でニアスを見上げる。そしてため息をついて、両手を腰に手を当てた。
「ニアス様、女の子は可愛い自分が好きなだけですよ。で、可愛いから純血である自分が好きなんですよ。
 でも、好きになった相手の種族が違っても、止まらないものです。それで自分が可愛い事が変わるわけではありませんからねぇ」
「そうか。ノイリだってあの兄貴と並んでも可愛いしな」
 確かにリズィは誰と結婚しても可愛い。
 マルタはまたため息をついて、ちょこちょこと動き出す。
 お茶を入れて、リズィの分はカップからカップに何度も移し替え、冷ましてから出す。猫だから猫舌なのだ。
「ありがとう」
 リズィは少し機嫌を直した。
 ノイリに、見た目で獣族の年齢を判断する力はない。参考になるのは声ぐらいで、リズィはまだ子供のように思える。だから単純な事で機嫌を直してしまう。
「カルティは結婚しないんですか?」
「僕までっ? ノイリは僕なんかの事が気になるの? まだ早いよ」
「獣族は歳がよく分からないです。マルタは、孫の顔が見たいって言ってます」
「母さんは気が早いなぁ。
 僕は結婚なんてまだまだしないよ。ここの仕事が楽しいからね。女の子の知り合いは多いけど、恋愛とは違うし」
 可愛い子ネズミが見られるのはまだまだ先のようだ。
「結婚といえば、エンダー様とヘイカー様が、ノイリの婿を探しているらしいよ。自分達が未婚なのに、気の早いお方達だねぇ」
 マルタがおかしそうに笑って言った。
「私?」
 びっくりだ。
 ノイリが結婚するのはまだ早い。人間が結婚するのも十六歳からだった。ノイリはまだ十三歳だ。
「ノイリの婿なら、ちょうどいいのがいるな」
「誰ですか?」
「ヘルドがいるだろう」
 ノイリは驚いてニアスを見た。
「ヘルド?」
「考えてもいなかったみたいな顔をするな」
 考えていなかったのだから仕方がない。
「エンダー様も本人達にその気がなさそうだから、無理だろうとおっしゃっていましたよ。何にしてもエンダー様の嫁取りが先ですけどねぇ」
 その通りだ。先にノイリが結婚しても意味がない。
 お茶を飲んで、最初に戻る。
 エンダーはどうやったら好みの相手と結婚できるか。
「おお、ここにおったか」
 全員、固まった。
 今、見合いの真っ最中のはずの、エンダーの声がしたような気がした。まだまだ数時間かかるはずだから、きっと別人の声だ。
「いやぁ、まいったまいった」
 後ろ頭を掻きながら、いつもよりも少しオシャレな格好のエンダーが姿を見せた。
「え、エンダー様?」
 マルタが小さな手を持ち上げ、先ほどカルティが固まったのとよく似た動作をした。
「お見合いは?」
「いやなぁ、エスティーダ様が用意した、昔の姿絵が問題で苦情が出てな。少し話し合いをしておるよ。向こうにはヘイカーを置いてきた」
 遠い。
 ノイリから見てすら、結婚には遠い気がした。
「だから、痩せろ。せめて一回りだけでも」
 ニアスが沈痛な面持ちで兄に向かって進言した。
 まったくその通りだ。
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2009/02/02   窖のお城   396コメント 9     [編集]

Comment

 

ma2150     2009/02/02   [編集]     _

エンダーといいニアスといいちょっと天然?入ってませんか?お世話する人たちの苦労が目に浮かびます。

社怪人2151   エンダー、痩せろ。   2009/02/02   [編集]     _

とにかく痩せろ。
でないと一生縁遠いぞ。

-2152     2009/02/03   [編集]     _

天然、天然ですね。
もう、これはしょうがないですね。

ななと2154     2009/02/03   [編集]     _

気になるー。詐騎士の頃には、エンダーさんも素敵な伴侶を得ておいでなのでしょうか。どきどき。
さらに太っちゃったとかじゃありませんように…

-2156     2009/02/03   [編集]     _

ニアス様=ノイリ属性?

-2157     2009/02/03   [編集]     _

エンダー様はどんだけ太ってるんですか?見た目で断られるなんて…。朝青龍ぐらいですか?

G.G.2158     2009/02/03   [編集]     _

うーむ、エンダー様、もしかして、ジャバ・ザ・ハット(byスターウォーズ)ぐらい太っているのだろうか……。

とーこ2159     2009/02/03   [編集]     _

トカゲがカエルに見えるぐらい太っています
人間で例えれば小錦とか?
米国の超肥満の人並みとか?
竜族は日本人みたいにやせ型の人が多いので、すんごく異質です。

toto6588     2010/10/11   [編集]     _

竜族は種族的にデブ専という観念すら育っていないくらい太ったのが珍しいと


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