白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 リズィの尻尾にはちりりっと音が鳴る、小さくて可愛らしい鈴がついていた。歩くと耳と尻尾の赤いリボンが揺れて、とても可愛い。
 そんな可愛い彼女はぷりぷりと怒っている。怒っていても可愛い。
「リズィ、どうした」
「ニアス様がここにいると聞いてまいりました。ティーダ様はお義兄さまのお見合いに忙しくて、私は時間が空いておりますの」
 リズィがニアスの隣に座り、ぺたりとひっついた。
 ニアスも苦笑いしながらそれを許す。リズィは可愛いから。
「わ、私もっ」
 ノイリは立ち上がり、机を迂回してニアスの隣に座った。
 これで寂しくない。
「ちょっと、なんであなたまでニアス様にひっつくのよ」
「だめですか?」
「ダメよっ」
 ノイリは引っ付かないように、ニアスの肘当たりの袖を掴む。
 これなら少し寂しくない。
「あなたねぇ……そんな風に満ち足りた顔をされると、私が意地悪してるみたいじゃないの」
「申し訳ございません、ニアス様。最近、どうも甘えんぼうで、誰かに構って欲しがるんですよぉ」
 リズィが怒り、マルタがちょこちょこと歩いてやってくる。
 服を掴むのは失礼だったかと、ノイリは落ち込んで手を離す。
「おやおや、そんな顔をして。ニアス様がお困りだよ」
 やはり困っているのだ。彼は可愛いリズィが好きだから、邪魔されたくないのだろうか。
「何もそこまで落ち込まなくても。マルタ、ノイリはどうしたんだ?」
「それが、なんでも地族の群れを見てから、ホームシックにかかったらしくて」
 ホームシックなのだろうかとノイリは首をかしげた。
 地族と地上の皆はまったく違う。まだ城下町の方が近いぐらいだ。
「ちょっと! あなた、選りに選って、なんで地族なんかとニアス様を比べてるのっ!?」
「比べてません。ニアス様は格好いいから、可愛い地族とはちっとも似てません。エンダー様はちょっと似てます。可愛いいです」
「あなた、それもエンダー様に対して色々失礼よ!」
「ど、どうしてですかっ?」
「素で言ってるのが心底恐ろしいわ」
 地族達は可愛いのに、なぜいけないのか考えてみた。
「ああ、男性に可愛いって言うのはよくないですね」
 格好いいと言わなければならないのだ。しかし、エンダーは格好いいとは違う。
「そうよ。それもそうだけど、地族に似てるなんて失礼な言葉が悪いって、なぜ気付かないの!?」
 ノイリはもう一度考える。
「リズィは地族を見た事がないんですか? 踊ったりして可愛いです」
 偏見があるからそんな風に言うのだ。リズィなら、リムメルのように見た事がない可能性が高い。
「見た事ぐらいあるわよ。ティーダ様の視察についていくもの」
「可愛いのに……」
「あなた、悪趣味よ」
 ノイリは可愛い彼らを思い出してしゅんとする。
 リムメルだって可愛いと言っていた。その中でもトトは可愛かった。
「リズィ、うちの兄貴が似ていると言われた生き物をあっさり否定しないでくれ」
「ああ、申し訳ありませんっ! もちろん、エンダー様はダンディで素敵ですわ。私がもう少し大人の竜族なら、きっとお見合いに参加しておりましたもの」
「いや、心にもない事は言わなくていい。
 それに、地族が可愛いというのは本当だ。うちの区限定だけどな」
 リズィはきょとんとしてニアスを見上げる。何を言っているのだろうと言いたげな目だ。
「うちの区の地族は、他と比べてのびのびしてるんだ。土質が好みなのと、育て方の違いなんだろうが、妙に愛嬌がある。しかもある程度は字が読める奴もいたり、面白いな。そういう賢い奴は指揮を任せたりする」
「まあ、そうでしたの。さすがはエンダー様」
「兄貴じゃなくて、父の代からだ」
「ああ、お父様。素晴らしい方だと聞いています」
 もう亡くなってしまったから、仕方なくエンダーが王をしているのだ。
「お亡くなりになったんですよね。
 地下のひとは、みんな丈夫だからとっても長く生きるんだと思ってました」
 若い王が多いという事は、それだけ親が早死にしているという事だ。
「言っておくが、テルゼの所は死んだわけじゃないぞ。テルゼを見ていれば分かると思うが、放浪癖がある。帰ってこないから死んでいるんではないかと言われているが、王の座を譲ってから姿を消したから、まあ、生きている可能性もある」
 それは大変だ。
 ティリスは親が身近にいないから、困った時も経験者に聞く事が出来ない。しかも生死不明など、はっきりしないよりも気になる。
「エスティーダ様の場合は、親が暗殺されて、次も暗殺されて、いつの間にか王になっていただけだ。ただ、自分自身を鍛えられていたし、大胆さと用心深さを持つから、まだ暗殺されていない。
 ラクサが近くにいるのは、魔術にも毒にも強い体質のためだ。兄貴はエスティーダ様の事は気に入っているから、その信頼もある」
 ノイリは驚いた。
 狙われているのは知っていたが、ラクサがそんな理由で近衛をしているとは思いもしなかった。
「ティーダ様は暗殺なんてされませんわ」
「ああ、させないだろうな。ラクサもいるのに、されてもらっては困る。さっさと頼りになる鉄のように頑丈な婿でももらえばいいんだが」
「ニアス様のような方ですね」
「俺よりももっと強い奴がいいな」
「まあ、そんな殿方、存在するかしら?」
「するだろう。俺は化け物じゃないぞ」
「でも、同年代では一番ではありませんか。ティーダ様に見合う年齢で探すとおりませんもの。ニアス様よりも一回りは年上になってしまいますわ。
 子供の内は神童と呼ばれても、大人になれば大したことのない方もいますから、ティーダ様の伴侶選びはもう少し年齢を重ねないと」
 誰も彼も結婚相手に困っているらしい。
 ヘイカーも独身だという事を思い出す。
「リズィは結婚するんですか?」
「ちょ、ノイリ、そんな事さらっと……もう、いやだっ」
 リズィは頬に手を当てて身をよじる。可愛い。
「リズィほど真っ白で綺麗な猫も珍しいから、相手も同じぐらい綺麗な白猫がいいな。せっかく綺麗なんだ」
 ニアスがリズィの白くて長い毛を指に絡めながら言う。
 ノイリもそう思う。きっと子猫は悶えるほど可愛いのだ。
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2009/01/31   窖のお城   394コメント 5     [編集]

Comment

 

とーこ2140     2009/01/31   [編集]     _

ニアスが両手に花状態。
ウサも可愛いが、にゃんこも可愛い。
この子は某白子猫を思い出すので、脳内の声がぶりっこ時のリナに変換されます。

琴葉2141     2009/01/31   [編集]     _

個人的には、キューティ・キティを想像しながら読んでます。

N2142     2009/01/31   [編集]     _

そう言えば子猫の声はリナでしたね。
これからはずっとこれで、脳内再生される。

-2143     2009/01/31   [編集]     _

哀れリズィ・・・。(でもなんか微笑ましい♪)

社怪人2144   でも、この仔猫娘(コ)のターゲットって…   2009/01/31   [編集]     _

ニアス様なんでしょ?
理想が高いというか…種族が違いすぎて大丈夫というか…

追記…
関係ないけど、ちょっと面白いから紹介。
人間計算機
ttp://www55.channel.or.jp/jintaku/

私の結果
フダンハオトナシイガ、イザトナッタラダイタンニチャレンジスル。
感想。
フダンカラオトナシク、イザトナッテモイシバシヲタタイテサエワタラナイ。
だと思うんだが…


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