白夜城ブログ

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 呼び出された部屋に行くと、リズィが丸椅子にちょこんと座っていた。相変わらずとっても可愛い。
 その奥には、座り心地の良さそうな長椅子の上で、女の子がふんぞり返って座っていた。
 女王陛下はノイリと同じぐらいの年の頃だと聞いたので、彼女がそうなのだろう。すらりと足が長くい大人っぽい女の子で、褐色の肌に銀髪と金色の目がよく似合っている美人だ。将来はきっと絵に描いたような魔物達の女王陛下になるのだろう。
「ごきげんうるわしゅう、エスティーダ様。ますますお美しくなられましたな」
 エンダーがよくわからない礼をする。太っているから動きが分かりにくいので真似できない。どうしようと悩み、とりあえず普通に頭を下げる。
 マルタは控えの部屋にいるし、どうしたらいいのか分からない。
「そなたはもう少し痩せろ。兄弟でなぜこうも違うのか不思議でならぬわ。昔は痩せていたという年寄りどもの言葉が信じられぬ」
「いやはやまったく」
 女王陛下はゆっくりと立ち上がり、ノイリの前に立つ。
 どうするばいいのだろう。
 悩んでいると、羽に触れられ、引き抜かれそうになる。
「い、痛いですぅ」
「……なかなか抜けぬ」
 引っ張られて涙が出てくる。とても痛いのだ。髪の毛を引っ張られているのと大差ない。
「陛下、翼は敏感に出来ているのでおやめ下さい」
「飾りにちょうどよいのに」
「どれだけ抜く気ですか。脅えているではありませんか」
 ノイリは痛いのは嫌だ。
「まあよい。座れ」
 エンダーがソファに座ると一人でちょうどよい大きさだった。ノイリが座る隙間がないので、彼の膝の上に座ることにした。
「…………奇妙な絵じゃ」
 ノイリは首をかしげる。絵とは何だろう。
「ニアス様の時はなかなか絵になっていたんですのよぉ」
「いい男には大概の物が合うものじゃ。奴はあれで小動物を好むからの」
 よく分からないが、ニアスは女王陛下が見てもいい男なのだ。
 でもエンダーだっていい男だ。
「歌が得意なのだそうだな。歌ってみよ」
「どんな歌がお好みでしょう」
「目の覚める歌がよい」
「はい」
 目覚めによい爽やかな歌。小鳥のさえずりのように軽やかで活発で、優しい歌。
 ノイリはそういう歌が好きだ。
「あまり歌うのではないよ。夜会でもどうせ歌わされるからな」
 エンダーに頭を撫でられ、ヘイカーが差し出した中から高い音の出る弦楽器を選ぶ。快活にひくと可愛くて楽しい音を出す子だ。
 次に歌うのが夜だから、たっぷり水を飲めば回復しているだろう。
 ちゃんと歌おうと思うと、手加減できないのが不便だ。
 それでも歌うのはとても楽しい。

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2007/11/01   窖のお城   37コメント 0     [編集]

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