白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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5

 渋々と正装して、渋々とその場に出てきたニアスは、先に来ていたノイリを見て愕然とした。
 あの白くて可愛いノイリが、黒いドレスに身を包んでいるのだ。それでもあの愛らしさは損なわれることなく、抱き上げたくなる。
 現にエンダーは抱きしめてご満悦だ。
 いつもは色素の薄いドレスか、清楚な雰囲気の服ばかりだから、エンダーにとっても新鮮なのだろう。
「どうしたんだ、そのドレスは」
「ティーダ様に頂きました。もう小さいから記念に下さるそうです」
 いつもとは雰囲気の違う、少し濃いめの化粧をした彼女はまた可愛い。髪を左右に分けて黒いリボンで結い、首には黒いチョーカーと、胸元には大きな石のついたブローチ。腕にはブレスレットと指輪もついている。今日はリズィもおそろいのように黒い服を着ている。これがまた可愛い。
「二人とも今日は趣旨替えか。可愛いな」
「まぁ、ニアス様……」
 リズィが照れて身をよじる。
 じっとしていると、作り物のように愛らしい。
 こうしているだけでむやみやたらと何かを買い与えたくなる。
 ストレスが溜まっているのだろうか。普段はむさ苦しい男達に囲まれているから、彼女たちのような愛らしさが癒しになるのだろう。
 女では癒されない。五区ならともかく、一区の女は──いや、ニアスに近づく女は、笑顔の下にグロテスクな物を含んでいて恐ろしい。
 だから彼女たちのように害のない愛らしさに安心するのだ。
 リズィも裏表はあるが、裏の部分もまあ可愛いレベルである。カルティ相手に吼える姿は、むしろ微笑ましい。皆には猫とネズミなのにお似合いだとすら思われている。もちろん本人達は知らないし、意識もしていない。とくにカルティが異性に興味を持たないのだ。あるのかも知れないが、自分には縁のない事と切り捨てているのは間違いない。
「ニアス様、どうぞお席に」
 会場は中庭と呼ばれる、城内で唯一『木』が植えられている場所だ。普通は農園以外にはないのだが、地上の庭を真似て作られた場所だ。小規模のパーティは、ここか小ホールで開かれる。明後日の誕生パーティは偶然建国記念日と重なっているため、盛大に行われる。神殿までを往復してくれるので、警護する側としては大変だが、幸いニアスは祝いに参加する貴族の子息側であり、同僚達とは離れている。つまり一日中ノイリの側にいられる。他の連中に護衛を任すぐらいなら、自分でした方が安心できる。
「ノイリ、今日はどんな歌を歌うんだ?」
「大人の歌です」
「大人の歌?」
「譚詩曲です。さっきおしえてもらいました。明日はパーティの予行練習です」
 さっき聞いたばかりの歌を歌うのか。
 彼女は身が安全なら、どこまでも度胸のある子だ。身の安全がなければきっと挙動不審になるのだろうが、そんなことは起こりえない。それはエンダーの危険も意味しているのだから。
 これなら、当日にもそれほど緊張していないだろう。
「ノイリ、誕生日の日、昼間は退屈だろう。兄貴はきっと人付き合いで忙しいから、俺と一緒にいるか? 貴賓席にでもいれば安心だしな」
「はい! お祭り見ます!」
 ノイリはニアスの提案に目を輝かせた。
 地上の祭りですら知らない彼女はいろいろと誤解している。その様子も可愛いので適度に訂正を入れればいい。夜からは自分も主催者側になるのだから、昼間にしか遊ばせてやれないのが残念だ。
「たくさんの店が出る。美味いものを少しずつ食べような」
「はい」
 女王陛下の手が届かない場所で、振り回されない楽しみも教えてやりたい。
 世間知らずなところも可愛いが、可愛いだけですむのは今の内だけだ。

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
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2008/01/26   窖のお城   32コメント 0     [編集]

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