白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 夕食時、ニアスは天族達を見比べた。
 ノイリはいつもとは少し違う、闇族の料理が気に入ったらしい。
 もう一人はテルゼがヘルドと名付けた天族。彼の本当の名には力があるらしく、名乗ろうとすると放電するため、危険と判断して名付けた。
 彼は初めて食べる身体に合ったまともな食事に驚いていた。ヘルドは異様にやせ細った人間のように見えるから、これでもまだ太らされた方だと分かる。普通の天族は生きた人間のようには見えないらしい。
 もう少し太ればノイリ程ではないが、可愛らしい子になるだろう。男でも、可愛くないよりは可愛い方が良いと、テルゼは飼う気満々だ。完全にペット扱いである。
「もっと!」
 少し話す事に慣れたらしく、彼はおかわりを要求した。
 地上では放電するのでろくな扱いをされていなかったらしく、ここの方がいいと思われたようだ。
 キャンキャンと吼えても、それ以上をしようとしない。食事を出せば、こうしてがつがつと食いついた。
 魔力の封印も本人が外せるものに取り替えたが、危険を理解しているらしく、外さない。
 生意気さも子供と思えば可愛いものだ。
「いきなりそれ以上食べたら、死んじゃうよ?」
 生意気な少年に、ノイリは可愛らしく首をかしげて言った。
 彼女は何をしても可愛らしいが、時々遠慮がない物言いをする。きっとデブと言われた事を根に持っているのだ。彼女は気に入った相手にならどこまでも可愛くなるが、ひどい事を言った相手には少し尖った態度を取る。
 それがエンダーをさらに喜ばせているのを、ニアスは知っていた。
 彼女の特別な一番は、誰が見てもエンターである。
 誰にでもよく懐くのも可愛いが、自分に一番懐けばなお可愛い。
「上と違って地下はそれほど水があるわけじゃないからいいけど、翼が動かないのに食べるなら、吸うのをやめないと死んじゃうの」
「な、なんでだ」
「魔力が出て行かなくても死んじゃうの。食べ物にはたくさん水があるから、魔力を外に出さないのに取りすぎるとダメなの。
 あと、太るとすぐ死んじゃうの。でも食べ物を食べると、すぐに太っちゃう」
 ヘルドはエンダーを見た。彼にとっては不思議なの中でもさらに理解を超えているはずだ。
「歌うのは負担が大きいから、翼を動かせない時に食べ過ぎると大変なの。だからダメなの。
 我慢できないと苦しむのは自分だよ。がんばれない時に食べると危ないから食べちゃダメなの。
 歌って早く傷が治るようにするから、それまでは我慢」
 ノイリは不服そうなヘルドに、お姉さん風を吹かせて説教する。その姿が愛らしくて、エンダーを笑わせる。
「こんなに他人が多い新年会は初めてね」
 ぽつりと、ルーシアが呟いた。
 皮肉ではなく、嬉しそうに。去年は嫌いな身内ばかりで過ごしたのだ。
 殺されても悲しまないほど嫌っていた家族と、どんな生活を送っていたのかニアスには想像もつかない。
 彼は両親に愛され、兄も妹も普通に仲良くしている。
 兄に関してはなぜそこまで劣化したと嘆きたいほど、外見が変わってしまったが、最近はノイリと散歩をするせいか、少し痩せた気がした。この調子で昔の逞しくて、ニアスの憧れだった頃の兄まで戻ってくれとは言わないが、そこそこ見られる体格になってくれれば、エンダー好みの美人を嫁にもらう事も容易で、すべてが上手くいくのだが、多少の運動で痩せられる分はたかが知れている。
「ルーシアは闇族なのに健気なところがあって可愛いなぁ」
 嬉しそうに食事をするルーシアを見て、テルゼが笑った。
「でもすごく口うるさいよ?」
 ローレンはテルゼに顔を寄せ、心底心配するように忠言した。
「姉ってのは口うるさいもんだ。うちの姉に比べれば、ルーシアはまだ可愛い。うちのねえちゃんは恐い」
「ティリス様は優しいと思うけど?」
「そりゃ、よその可愛い男の子には優しいだろ。女ってのはそういうもんだ。身内には厳しいか甘甘かどっちかだ」
「そっか」
 姉を持つ男達は、天族が普通に生活するコツを語るノイリを見て頷き合う。
 上がのほほんとした兄なので、ニアスにその気持ちは理解できない。
「やっぱ、女は妹系だよなぁ」
「妹系?」
 ニアスとユーリアスはそれぞれの妹を見た。
 これも、妹だ。そしてルーシアもユーリアスから見れば妹だ。
「姉と妹は両立するものでしょ。くだらない括りね」
「まったくだわ」
 妹二人はそれをきっかけに仲良くなって、ノイリも含めて三人一緒に寝る事になった。
 
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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
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2008/08/31   窖のお城   240コメント 2     [編集]

Comment

 

G888   ノイリって…   2008/09/01   [編集]     _

本人は“姉”のつもりだけど、周囲の人からは“妹”に見られてるなぁ…

とーこ889     2008/09/01   [編集]     _

この子も姉になるんだなぁって視線です。
ユーリアス的な立場から、姉である姿を見せる妹とか娘を見ている感じになりますが。


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