白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 俺は甘い物が大好きだ。一人で店に入ってパフェを頼むのも平気なぐらい好きだ。ばあちゃんが生きていた時は、よく一緒に喫茶店でパフェを分け合ってた。父さんも好きだったから、きっと甘い物が好きな血筋なのだ。
 しっかし、このプリンマジで美味い。店の名前は知らないから、遠くの店だろうか。覚えておいて、ネットで調べよう。プリンとかハルカさん好きだから、買っていったらきっと喜ぶ。
「そういえば、もえすぐハルカちゃんの誕生日よねぇ。今年は何をあげようかしら」
「ええっ!?」
 おばさんの言葉に、俺は驚いて声を上げる。プリンとかダメじゃん。
「あら、知らなかったのね」
「だって、ハルカさんに聞いたら、こないだ過ぎたばっかりで、まだまだ先だからどうでもいいって、先月」
 そう言われたら、半年は先のことだと思うのが普通だ。その頃に何か買えるように色々と考えようと思い始めたところで、いきなりだ。ハルカさんひでぇ。
「ハルカちゃんも女ねぇ。年のことを気にし始めたのかしら。君たち若いものねぇ」
「そういえばハルカさんの口からは歳聞いたことないなぁ」
 トキさんからは聞いた。現在二十三歳らしい。もうすぐ二十四歳。そんな大人の女の人の誕生日。
「やっばいなぁ。小遣い使っちゃった……」
 元カノの誕生日プレゼントの分は貯めてたけど、あの事件の後で買い物して憂さ晴らししたから残ってない。俺ってなんて計画性がないんだろう。
「アルバイトは禁止なんだっけ」
 トキさんが紅茶にミルクを入れながら問う。
「基本的に。先生に言えば許可出るらしいけど、客商売とかはダメらしいんですよ。学校に内緒でアルバイトしたなんて言ったらハルカさん怒るし」
 ハルカさんはそういうところすっげ真面目。もしも見つかったらダメになるのはお前の内申だ将来だと怒る。プレゼントの事よりもそのことが大きくて口きいてくれなくなる。ハルカさんに嫌われたらマジ凹む。
「トキさん、絶対に返すから五千円ぐらい貸して! 毎月千円づつとかになるけど返すから!」
「べつにかまわないけど、ハルカちゃんの趣味分かる?」
「う…………」
 ハルカさんにアクセサリは無駄だ。自分で作るらしいし、他人にプレゼントできる腕前。おばさんが見ているのも、本当に売ってておかしくないレベルだ。高く見える。置物とかの小物はあんま興味ないみたいだし、財布とか自分で作る。革細工も好きなんだって。俺が来る前までは、近所の教室に通ってたらしい。さすがにコスメ関係はそれなりに買ってるみたいだけど、そんなの買っても滅多に気合い入ったメイクしないから意味がないし。あの人は高価なブランドコスメはあっても使うような人じゃない。もったいなくて使えないタイプだ。
 あとはゲームとか。でも欲しいゲームは予約して買うだろうし……。
「…………ねぇ、困るでしょ。私はいっつも困るの。困るから服を買ってるわ。服の好みなら分かるし」
「いいなぁ」
「母さんは自分のブランドの服を渡せばいいからもっと楽よ」
「自分のブランド?」
「デザイナーなのよ。伯父さんが社長なの。ウチに置いてある雑誌にも載ってるわ。父もそっち系の仕事だから、私の店の常連はモデルさんとか多いのよ。まあ、こいつ目当てなんだけどね」
 と、常盤さんを指さす。俺はいつもトキさんにやってもらってるから自分では体験した事ないけど、カリスマ美容師って奴らしい。
「へぇ。すごいっすね」
「ハルカちゃんがデザイン指定されても作るのは母さんぐらいだから、この二人は趣味が似てるのね。ハルカちゃん、気に入らない物は面倒くさがって作らないし。自分の本職じゃないから、作って楽しいが前提なの。だから母さんの服はハルカちゃん好きなの」
 そうなんだ。ハルカさんはスタイルが良くないと着こなせないような服をけっこう持っている。女の人向けの雑誌なんて読んだことからよくわかんないけど、雑誌に載っているなら人気のあるメーカーなんだろう。
 親はデザイナー、子は美容師。そういう身を飾ることが好きな家系なんだ。トキさん、女っぽい割には、それっぽい服から、男らしいカジュアルまで何でも着る。たまにフリルが着たくなるけど、皮のハードなのも好きなのぉって。見るたびに違うジャンルのスタイルだ。
 そしてふと、おばさんの前の格好を思い出す。とてもこんなに大きな息子がいるようには見えない、身体のラインが出た若々しい服装だった。今は落ち着いたマダム。
 似たもの親子だ。

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2008/06/15   推定家族   169コメント 1     [編集]

Comment

 

マナ472     2008/06/16   [編集]     _

いっそのことプレゼントは花でも……
キザとか言われて一刀両断されそうだけど。


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