白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 見合いの手配は驚くほど素早かった。三日で話が進み、エンダーがユーリアスの付添人としてこの見合いの場に参加している。
 ノイリも相手の子がぐずったら遊び相手にでも、という理由で一緒にいる。
 とても可愛い女の子だ。今まで見た中で一番可愛い闇族で、条件に合う癒し系の女の子。
 可愛いのでじっと見ていると、彼女もじっと見つめてくる。
 互いにそわそわしながら見つめ合う。
「そなたら、女同士で見つめ合ってどうするのじゃ」
「も、申し訳ございません」
「よい。珍しいのであろう。気になるのは仕方がない」
 彼女はエスティーダの笑顔を見て、恥ずかしそうに俯いた。
 仕草が獣族のような女の子だ。黒い翼がたまにぴくりと動いて可愛い。
 父親の方は闇族らしいひょろりとした体つきだが、とても凛々しくて格好いい。母親の方は娘と少し似た雰囲気だ。しっかりした優しそうなお母さん。娘はもっと柔らかい雰囲気で、愛されている感じがした。年頃は人間なら十歳ぐらい。ユーリアスは十五歳ぐらい。いまはまだ早いが、将来を考えればほどよい年の差だ。
 テーブル越しに向かい合う見合いの主役である二人は、ようやく正面から目を合わせた。
「はじめまして、リムメル。私はユーリアスだ」
「はじめまして、ユーリアス様。リムメルです」
 二人の言葉が切れる。緊張して何を話していいのか分からないのだ。ノイリはテーブルの陰で拳を作り、心の中でユーリアスを応援した。
「その子は天族という」
 心の声を聞いたかのように、ユーリアスはノイリを示して言う。
「地上にいる種族の子だよ。雷と癒しの歌を操るんだ。もうしばらく一区にいるから、あとでお話するといいよ」
「はい」
 リムメルは恥ずかしそうに頷いた。
 小さな子を見ていると、地上にいた時を思い出す。あの時はノイリも『おねえちゃん』だったのだ。みんな小さいのにノイリの世話をしてくれたけれど。
「人形とかが好きなのか?」
「え、はい」
「じゃあ、ちょうどいい。ロコ」
 控えていたユーリアスの使用人が、人形をリムメルへと差し出した。可愛い人形だ。そして高そうだ。金髪で、ふわふわで、どうしてか白い蝙蝠の羽が付いている。
「四区は人形を作る職人が多いんだよ。手先が器用な者が多いからね」
 リムメルの父親が娘の頭を撫でながら言う。
「可愛い人形だな。気に入ったか?」
「はい。すごく綺麗! ユーリアス様、ありがとうございますっ」
 人形をもらった彼女は、結婚とは縁のない幼い笑みを浮かべた。
「いや、実のところ、彼女に似ているからつい買ったはいいが、すぐに流行りだしてプレゼントする相手がいなくて困っていたところだ」
 ユーリアスは言葉に迷っているようだった。彼は大人ばかり相手にして、物わかりがいいらしい弟と妹しか子供の相手をしないのだ。知らない女の子だから、とても緊張している。
「できれば喜んでくれる子に渡したかったから」
 ノイリが持っているユーリアスにもらった翼のある人形は、ちゃんとノイリと同じような翼だ。地下では翼と言えば闇族の翼で、白だけが正確に伝わったのだろうとノイリは一人で納得した。
「モデルはノイリらしいから、健康に健やかに育つよう、女の子に贈るのが流行っているんだ。彼女は生きた観光名所だから」
 ユーリアスは、ますます少し困っているようだ。焦っている気がした。
「ユーリアス、緊張しているのかえ。いつになく饒舌ではないか。
 しかし、あまり他の女のことばかり口にするでない」
「申し訳ありません」
「顔に出ないのはよいことじゃ。そのまま態度にも出なくなるまで精進せよ」
「ご忠言、痛み入ります」
 リムメルと両親は微笑んでいる。硬い顔つきだったのに、本物の笑顔になっている。
 ユーリアスは不器用だが、いつも一生懸命だ。それが伝わったのかも知れない。
「どうじゃ、こうして話しているのもなんじゃ。若い二人に任せようか」
「任せるとは……」
「町にでも二人でデートでもしてくれば、多少はわかり合えよう」
 確かにエスティーダの言うとおりだ。
 一緒に過ごせば理解し合える。
「無茶です。まだ賊が残っています。四区の者であれば危険です」
「なんじゃ。女一人守れぬのか」
「いざというときと、わざわざ渦中に飛び込むのは違います」
 ユーリアスの言うとおりだ。悪人がユーリアスと自分の身内を結婚させたがっているからの見合いだ。邪魔だから殺されてしまうかも知れない。とても危ないのだ。
「そなたらもユーリアスは信用ならぬか?」
 エスティーダはリムメルの両親に尋ねた。
「いいえ。声を聞いてくださる王は信用いたします」
「だそうだ。そなたが信用に報いれぬのであれば、遅かれ早かれ四区はまた元に戻る。それは双方が最も避けたいことであろう。ならばユーリアスとリムメル、城下とは言わぬから、二人で証明して参れ」
 エスティーダは手で追い払う動作をした。
 とても楽しそうにしながら。
 他人の色恋沙汰が大好きでお節介を焼く人がいると、とマルタが言っていたのを思い出した。きっとそういうものなのだと、ノイリは納得して頷いた。
 二人が仲良くなると、ノイリも嬉しい。

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
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2008/06/04   窖のお城   159コメント 4     [編集]

Comment

 

uri416     2008/06/04   [編集]     _

二人とも初々しくてよろしいですな
そしてお約束の”若い二人に任せて”w

G417   さぁ…   2008/06/04   [編集]     _

今度はコアトロのターン。かな?

 421     2008/06/06   [編集]     _

ユーリアスに貰った~という部分をニアス様と勘違いしてしまいました。
読み返して、闇族型人形をニアス様が手にとった、という記述がありましたので、
お土産に買ったノイリちゃん人形を、ノイリちゃんの部屋で発見したニアス様が
送るに送れず、捨てるに捨てられず、部屋に飾っている、とかあり得ますか。

深まるロ●コン疑惑、阿鼻叫喚な周囲。労りに満ちた生温かい女王様の眼差し、
みたいな裏舞台があったら、チラ見してみたいです。

とーこ422     2008/06/06   [編集]     _

ニアスが小動物好きなのは、けっこう知られてます。
大きいのには厳しいのに、小さいのには厳しくできませんからね。


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