白夜城ブログ

3
 ノイリはユーリアスの婚姻話で、確信したことがある。
 エンダーはもう結婚していなければならない年なのだ。本人はまだ若いと言っているが、行き遅れなのだ。
「ユーリアスはどのような娘さんが好みなんだ?」
「条件に合えば、どのような方でも」
「こういうときは思い切りわがままを言ってみるもんだよ。好みというか、理想があるだろう。すべてに当てはまらなくても、肝心な部分は当てはまるもんを探すためには、言ってもらう方がいい」
 彼は小さく笑い、考え始める。
 エンダーと違って彼はスマートで綺麗だ。エンダーのように容姿という壁がない。
 どんな人だろうかと少しうきうきして待っていると、ユーリアスと目があった。
「ノイリのように、無害な癒し系が理想です。最悪の場合は自分で身は守ってもらいたいので、難しいでしょうが」
 確かにノイリは無害だ。しかも愛玩用なので、癒し系なのかもしれない。エンダーに可愛がってもらうのが仕事なのだから。
「確かにそなたには癒しがないな。闇族はキツイ者ばかりじゃが、可愛らしい女がいないわけではない。場所を選べば見つかろう」
 今まで見てきた闇族は、ほとんど美人だがつきめの顔立ちをしていた。どうやら種族的な顔つきらしい。魔族の女性の方が柔らかい雰囲気だ。
「しかしノイリほどとなるとなかなか難しいでしょうなぁ。そのつもりで一から育てないとなかなかこうはなりませんぞ。いや、そのつもりで育ててもこうなるのは難しい」
「ノイリは別格じゃ。なんでも聖女になるべく育てられたそうではないか。人間の技術か、環境か、本人がどこで育っても天然になるタイプだったかは知らぬが。
 いっそ、まだ幼い少女を婚約者にして育ててみるか?」
「最低限、自分で逃げてくれるほどでないと殺されます」
 エスティーダは真面目なユーリアスの言葉に少し不服そうだ。それに気付いた彼は、肩をすくめて続けた。
「何より、うちで育てたら誰がどう育てても癒し系にはなりません。弟や妹たちですら可愛いとは思っても、癒し系とは思えませんから」
「それもそうか。堅苦しそうな兄弟じゃな。
 ラクサ、おるか」
 声をかけると隣室からラクサが姿を現した。やはり鎧がとっても似合う。格好いい。
「いかがなさいましたか」
「そなたの知り合いに四区から来た闇族がおろう。あれに妹がいたような気がするが?」
「いますが、まだノイリよりも幼い子供だったかと」
「よい。あの一家の者なら一番大切な条件に当てはまる」
 エスティーダくすくすと笑い、菓子をつまむ。
「良かったな。一人候補が見つかったぞ。先代の王に喧嘩を売って一区に流れてきた一家の娘じゃ。コアトロとは最も遠く、主を諫める気骨のある男で、わらわは気に入っておる。気に入っておるのじゃが、四区を上手く治められるのであれば、親子共々くれてやってもよい。
 ラクサよ、話を進めてくれぬか。無理強いはせぬが、今の王は諫言に耳を貸す王であることは伝えておくれ。
 あやつらが国に戻ってくれれば、頼りになる者ができるだろう。
 頼れる者が多いことはよい事じゃ。わらわには敵も多いが味方も多くおるからの」
 ラクサは頷き、退室する。
 先方からいい返事をもらえれば、お見合いをするのだろうか。
 エスティーダがこれほど褒めるのだから、父親は素晴らしい人格者なのだろう。ユーリアスも嬉しそうだ。
 お嫁に来てくれなかったとしても、頼りになる力のある大人が近くにいてくれるなら、きっと彼の負担も減るだろう。
 いいことばかりである。

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2008/05/17   窖のお城   143コメント 2     [編集]

Comment

 

緑夏297     2008/05/17   [編集]     _

あ~…、なんかだめそうだな~w

G298   む~…   2008/05/18   [編集]     _

これでうまく行ったら一応は四区も安泰なんだろうけど…コアトロなんかヤりそうな気が。


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