白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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この日のこと、ちゃんと覚えていたよ。
22時頃気付いて、慌てて書いたりなんてしてないんだからね!



 ニアスが階段を上がっていると、ルーフェスの後ろ姿が見えた。彼は少しでも体力をつけるために、散歩をするのが日課になっているらしい。
 このままでは追いついてしまうので、無言では気まずい。
 彼のことは若干苦手なのだが、声を掛けようとした。
 その時だ。
「うっ」
 彼は突然、胸を押さえて蹲った。
 最近は体調も良くなって、彼を預かっている側としては、ほっとしていたところなのに、一人で歩き回るのは、やはりまだ無理があったようだ。
「ルーフェスっ」
 ニアスは慌てて彼に駆け寄った。
 病人というのは、良くなったように見えても、突然ころりと死んでしまうものだ。早くベッドに運んで、医者に診せなければならない。最悪の場合は、すぐにノイリに歌わせなければならない。
 階段を登り切ったところだったから良かったが、途中だったらと思うとぞっとした。
「大丈夫かルーフェスっ」
 声を掛けて顔を覗き込むと、頬に指が刺さった。
 ルーフェスの指が。
 顔を上げたルーフェスは笑っていた。
「騙されたぁ」
 彼は、それはもう楽しそうに、そう言った。
 詐騎士とまで呼ばれていた女の双子の兄であることを、すっかり忘れていた。
 いつも人のいい笑みを浮かべているし、妹に比べて無害だが、彼はけっこういい性格をしているのだ。
「わぁい、騙されたっ」
 と、物陰から顔を出したのは、エルノを抱いたノイリだった。
「お、お前まで!?」
 妻までニアスをからかうのに荷担していた事を知って驚いた。
「な、なぜこんな質の悪い冗談を!?」
「だって、ニアス様ったら、ルーフェス様の健康を理由に、地上に行くのを許可してくださらないんだもの。ちょっと意地悪してみたくなったんです」
 と、ノイリは唇を尖らせて、白い翼をふわふわ動かしながら言う。これは本当に拗ねているときの態度だ。
「だからといって」
「ルーフェス様は健康とは言えないけど、閉じこもっていなきゃいけないほど病状は悪くないです。なのに、実家に帰るのがダメなんて!」
「お前がいなければ、すぐに悪化するからだろう!」
「私だって、実家に帰ってみたいんですっ!」
「実家って……」
 彼女にとって、地下の生活よりも、地上の生活の方が長いのを思い出した。
 しかし、彼女は盗賊に誘拐されて地下に来たのだ。たくさん殺されたらしく、年若い女の子があんな風に性格がねじ曲がってしまうほどの惨状だったらしい。妻にはあまりそのような場所には行って欲しくなかった。
「ああ、うちですよ。エルノに空や山や森を見せてやりたいんです」
 ルーフェスは立ち上がり、エルノを受け取って言った。
「そうです。私だって、ルーフェス様のお屋敷の、美味しいお菓子を食べたいんです!」
「本音はそこか」
「お空も久しぶりに見たいんです!」
 ニアスはため息をついた。
「せめて、ルーフェスが散歩コースを休まず一周できるようになったらな」
 仕方なく、妥協案を伸べた。彼はよく疲れて休んで誰かと立ち話をしている。もうしばらくかかるだろう。
「じゃあ、いつ出発しようか」
「わーい、エンダー様に聞いてみましょう」
「出来るのかっ!?」
 ニアスは驚いて二人を見た。二人はにこにこ笑いながら、当然とばかりに頷いた。
「ええ。そりゃあ、最近は頑張って鍛えていますし。病状が収まっている時に、筋肉をつけないと」
 確かに、彼は出会った頃に比べれば、ずいぶんと健康的な体つきになっている。ぶかぶかの服を着ているから分かりにくいが。
「ニアス様も、全身隠していただければ、ついてきてもいいですよ。真夏で、つらいでしょうけど」
 ルーフェスはエルノを抱きながら、爽やかに微笑んだ。
「何着ていこうかなぁ」
「まあ、先に知らせを送らないといけないから、ゆっくり考えよう」
 二人は楽しげに去って行った。
 ノイリが信仰の対象になるというから、閉じ込めておきたかったのだが、それはニアスの勝手な言い分である。
 ノイリだって、たまには空を見てみたいと思うのも、当然かもしれない。
 天族の天とは、地上の空のことなのだから。
「暑いのか……」
 地上の真夏と真冬は、過酷な環境であると有名だ。
 だがしかし、行かないわけにはいかないだろう。帰してもらえないと言うことがあっては大変だ。
 覚悟を決めなければならない。
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2013/04/01   詐騎士   1295コメント 4     [編集]

Comment

 

紫月9072     2013/04/01   [編集]     _

今年もこの日があって良かったです!
そしてルーフェスさま、さすがイイ性格してますね!!
早く元気になってほしいものです。

闇羽9073     2013/04/01   [編集]     _

実家に帰らせてもらいますっ!(誇張有)とか、ルゼちゃんが喜びそうです

G.G.9074     2013/04/01   [編集]     _

今年も面白かったです。

さて、これは本編の番外編? それとも?

とーこ9075     2013/04/01   [編集]     _

時系列的には、次に出る6巻の冒頭ぐらいです。


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