白夜城ブログ

30

「こんにちは~」
 トキさんの店のドアを開けて中に入る。相変わらずオシャレな店だ。客もマダムって感じの品のいいおばさん。スタイルが良くて、すごく美人だ。
「あらハルト君。いらっしゃい。今日はどうしたの?」
 トキさん、髪の色が前見た時よりも明るくなっている。温かくなったからだろうか。今日はずいぶんと男らしい格好だ。たまにカツラも付けて女っぽくしてる時もあるから、トキさんは何でも似合ってしまうタイプのようだ。
 口を開かなければマジで格好いい。そんな格好いい人が身近にいて、ハルカさんはなんで心が動かないか、本当に謎だ。
「ハルカさんのお使い。これおばさんに渡してって」
 紙袋を差し出す。俺は参考書買いに来た。届けてくれたらお金出してくれるって。ハルカさんは何か買ってくれるときは、些細なことでも用事を頼む。無条件で何でも買い与えない方針で育てられたらしい。欲しかったら対価を払うのは当然なのだと。
 ついでに買い物行きなさいとか、そういうことだからハルカさんは可愛い。
「ああ、楽しみにしてたのよぉ」
 客のおばさんが手を叩く。
「えと……?」
 誰だろう。
「あ、母さんよ。一度見てるでしょ」
「あ……ああっ!」
 言われてみれば、前に一度病院であったトキさんのお母さん。
 若くて美人でびっくりしたけど、雰囲気が違ってまたびっくりしてた。美人のお母さんいいなぁ。
「髪型が違うと別人みたいですね! 前の時はカジュアルで可愛く見えたけど、その髪型、すっこいセレブっぽいですよ!」
「あらありがとう。口が上手ねぇ」
 ほんと、さすがはトキさんのお母さん。オシャレで美人。さらに知性的。
「ちょっとまってね。もう終わったからお茶を入れるわ。さっきお客さんが差し入れくれたのよ。プリンですって。男の子だから二つぐらい食べるでしょって、ちょうど四つあるから!」
「いいんですか? ありがとうございます」
 小腹すいてたからラッキー。ここのお客さんだからきっと美味しいプリンだ。
 トキさんが奥に行ってお茶をいれて、もう一人の美容師、常磐さんがプリンの準備をする。この二人がこの店の店員すべてだ。予約制だから二人で十分らしい。学校の関係で知り合った、トキさんよりも年上の美容師さん。トキさん曰く、ものすごく腕がいいから、一緒にやってくれているだけでもラッキーなのだそうだ。常盤さんは、経営とか苦手だから、トキさんに丸投げしてるらしい。
 トキさんは綺麗な男だけど、常磐さんはワイルドな男だ。筋肉トレーニングが趣味らしい。もちろん二人の間にあるのは友情だ。常盤さんの方はノーマルで、一度ハルカさんに振られたことがあるらしい。ハルカさんに聞いたら冗談だと思ってたらしい。世の中、上手くいかないものである。
「でも、ハルト君は何度見てもステキな男の子だわぁ。うちの子と違って普通にステキ」
 普通とは、言葉遣いなどだろう。
「そういうば、これ何が入ってるんですか?」
 そんなに重くないが、乱暴にするなと言われている。
「アクセサリとか小物よ。ハルカちゃん、趣味で色々やっているでしょう。こういうのがないかしらって言うと、ちゃちゃっと作ってくれるのよ」
 おばさんは鼻歌を歌いながら中身を確認する。
 ハルカさんも堕落的な生活を送っているようで、それなりに趣味は持っている。趣味でなければ、わざわざ小物を作ったりはしないだろう。
「母さん、眺めるのは家に帰ってからにしなさいな。紅茶が冷めるわよ」
「そうね。いただくわ」
 お客さん用の小さなテーブルに置かれたプリンを手にする。
 予想通りめちゃくちゃ美味しかった。

backmenunext
誤字の報告はこのフォームからお願いします


魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

2008/04/12   推定家族   115コメント 4     [編集]

Comment

 

さるぼぼ98     2008/04/13   [編集]     _

きってと美味しい
→きっと美味しい

どんなやつだろう。いいなぁ。

fit99     2008/04/13   [編集]     _

プリンが4つ
美容師2人におばちゃんとはると
はるとが2つ食べたら一人食べれませんがよろしいのでしょうか??
それともおばちゃん結構微妙な性格??笑

ヒナ100     2008/04/13   [編集]     _

↑多分、お客さんは「トキさんのことだから2つ食べるだろうし、おばさんと常磐さんは1つ、つまりプリンは4つかな」というだったんじゃないですかね?

何気なくハルト君、食事には困らない子ですよね(お隣さんとコモちゃん除く)

-101     2008/04/13   [編集]     _

プリンが4つなのは
スタッフ(トキ、常盤)は2人だけど2人とも男だから2つずつぐらい食べるだろうとお客さんが思い2人分として差し入れされたのでは?
男だから2つくらい食べるだろうはハルトではなくスタッフである2人にかかっていたのではないでしょうか…


Pass:   非公開:    

.

最新記事のRSS

.

更新履歴 カテゴリ コメント

.

.

拍手

.

リンク

.



.

.

.