白夜城ブログ

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魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑 (一迅社文庫アイリス) 魔道書店の稀書目録 ペンの天使に悪魔の誘惑
7/18発売
盗まれた〈天使の書〉の噂を聞きつけてメイザス魔道書店にやってきたジールは、奴隷にのようにこき使われている天使達と出会い、〈天使の書〉を買い戻すために書写師として働くことになる。ジールにだけは優しい悪魔の如き美貌と性格と能力を持つ店主と、天使のような(見た目の)少女の魔道ファンタジー。

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 式が始まった。
 魔族の女性が踊っている。薄紅の衣装がひらひらと舞っていて綺麗だ。それが終わると女王陛下へと赤い服の男が何かを渡す。そして輿に乗った女王陛下が大通りを戻る。
 ノイリは祭りのようなものの存在は知っていたが、目にしたのは初めてで、人々の騒ぐ様子が面白かった。
「ノイリ、陛下も見ておかないと、あとで感想を聞かれた時に困るぞ」
「はい。一生懸命見ます」
 ニアスが頭をかき、ため息をつく。
 女王陛下はとてもお綺麗だ。しかし何をしているのか理解できないし、何かしているのは周りだけで、女王陛下本人はただ立って移動しているだけ。何と褒め称えればよいのだろう。
「形式的なもんだから適当に答えていれば問題ないがな。とにかく素晴らしかったと褒め称えておけばいい」
 こくりと頷く。少し話をしただけの方だが、気質程度なら理解した。立っているだけで素晴らしく存在感を感じる方だ。そのようなことを素直に言えばいいのだろう。
 もうすぐ下を通る。
 うきうきしながら待っていると、ノイリの横を何かが通り過ぎた。
 ちょうど下に、女王陛下がいる。
 そこに、横を通った何かが落ちていった。
 女王陛下の頭上に落ちたそれは、ばちりとはぜる結界に阻まれて止まる。
 人だ。服装からして、客としてここに混じっていた獣族である。
 その獣族は突き立てていた刃物とは別に、何かを取り出して結界に叩き込む。
 ノイリはあまりのことに思考が追いつかずに呆然となった。
「ちっ」
 ニアスが後を追った時には、もう結界は崩れ、獣族は女王陛下に迫っていた。そこになってようやく自体を理解したが、ノイリは目を見開くだけでぴくりとも動けなかった。ただじっとエスティーダを見ているだけだった。
「下種が」
 女王陛下が見上げ、唇がそう呟いた。
 その後、目を射るような光を見てしまい、瞼を閉じてしゃがみ込んだ。
 動けるようになったが、何も見えない。
 周りが騒いでいるが、ノイリはそれどころではなかった。目の前が真っ白で、何度か瞬きして、ぼんやりと見えるようになったら立ち上がり、ニアスと女王陛下を捜す。
「ノイリ、大丈夫か?」
 柵に飛び乗ったニアスに問われた。ノイリは驚いて何度も瞬きする。下に飛び降りたのに、どうやって戻ってきたのだろうか。
「だ、大丈夫です」
「あの馬鹿女王、考えもなしにこんな人の多い場所で味方の目まで殺して、おかげで逃げられた」
 苛立つニアスは床に立ってノイリを抱き上げた。
「帰るぞ」
「はい。でも、さっきの……?」
「あのお転婆を殺そうとしてたんだ。獣族のふりをしていたが、今のは魔族か闇族の手をしていた」
「どうして殺そうとしてたんですか? ティーダ様は大丈夫ですか?」
「エスティーダは大丈夫だ。自分の身は自分で守れる奴だから」
 ノイリのいたバルコニーも騒がしかったが、外はもっと騒がしかった。
 人がたくさんいて、ニアスに抱き上げてもらっていなかったら、ノイリなど人波に轢かれて死んでしまっていたかも知れない。
 
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2008/02/17   窖のお城   11コメント 0     [編集]

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